自らの純潔に獣姦される若い処女 / Young Virgin Autosodomized By Her Own Chastity
ダリの暴露本を出した妹に対する批判作品
概要
作者 | サルバドール・ダリ |
制作年 | 1954年 |
メディウム | カンヴァスに油彩 |
サイズ | 40.5 cm × 30.5cm |
コレクション | 個人蔵 |
《自らの純潔に獣姦される若い処女》は、1954年にサルバドール・ダリによって制作された油彩作品。40.5 cm × 30.5 cm 。ダリ後期の代表作の1つ。描かれている女性は妹アナ・マリア。この作品は1949年にアナ・マリアが出版した『妹が見たサルバドール・ダリ』と関係が深い作品である。
アナ・マリアは兄が1942年に出版した自伝『我が秘められた生涯』を読み、かつてのダリ家の生活について、ダリがあまりにも自分勝手で、いいかげんなことを書いているのに心を痛め、ダリ家の真実を『妹が見たサルバドール・ダリ』で暴露した。
本作は以前はプレイボーイ・マンションのコレクションの一つだったが、2003年にロンドンで競売にかけられ135万ポンドで落札された。
自らを神格化していたダリは、妹の本の内容に怒り、復讐するように制作したのがこの作品である。本作は、1925年に同じ構図で同じ妹をモデルにした作品《窓辺の少女》の発展バージョンとなっており、サイの角の尖端と女性の尻とフェルメールの《レースを編む女》のダブル・イメージで描かれている。
特にヨハネス・フェルメールの《レースを編む女》からヒントを得た。レースを編む女の指先は針へ集中しているが、実際に絵画上に縫われている部分は見えないようになっている。この構図からダリはヒントを得ているという。
ダリはこの絵について「パラドックス!矛盾しているようだが、もっともエロティックに描かれているものが、もっとも純潔である」とコメントしている。
またこの時期はダリが、自然科学や数学に対して興味を抱きはじめたころで、サイの角状のモチーフを主題とした作品をよく描いており、本作にも描かれている。
なお、この絵のモデルはガラといわれているが、実際はガラの体型とかなり異なるところもあり、ダリが1930年代のアダルト雑誌の写真を元にして描いているとされている。