【画集解説】山本タカト第二画集「ナルシスの祭壇」

ナルシスの祭壇

デビュー作『緋色のマニエラ』から4年後に発表した第二作品集


概要


鈴木春信や桃太郎を題材とした作品も収録


「ナルシスの祭壇」は山本タカトの第二作品集。


2002年にエディション・トレヴィルより発行(発売:河出書房)。また2007年に復刻版が同社より発行されている。


第一画集「緋色のマニエラ」の延長にあるもので、大正浪漫的な世界の美少年画作品が多く占めている。男性画だけでいえば4分の3ぐらいある。伊藤晴雨から影響を受けた緊縛画が多いが、グロテスクな作品はほとんどない。前作と少し異なるのは、ヨーロッパ世界を背景とした美男子画「眠れる森の王子」などが収録されていることである。


また、鈴木春信から影響を受けた浮世絵的な江戸怪奇趣味や、耽美風にアレンジした浦島太郎や桃太郎など昔話を題材とした作品も多数収録されている。


ほかに変わった作品では、オーブリー・ビアズリーのオマージュ的作品「サロメの化粧」や「ランピトーの化粧」などが収録されている。

「紅月夜」(1999年)。鈴木春信の春画のオマージュ的作品で、男性が髑髏に入れ替えられおり、触手のようなものが描かれている。
「紅月夜」(1999年)。鈴木春信の春画のオマージュ的作品で、男性が髑髏に入れ替えられおり、触手のようなものが描かれている。
「夜性」(2001年)。しゃがみこむが背筋は伸ばして官能的な表情をした少女を覗きこむ眼が血走った妖怪たち。
「夜性」(2001年)。しゃがみこむが背筋は伸ばして官能的な表情をした少女を覗きこむ眼が血走った妖怪たち。
「欲張り桃太郎」(1998年)。山本タカトで検索するとキーワードで「桃太郎」が並ぶのが気になって調べると、ネットの一部で山本タカト版桃太郎の絵が話題になっているのですね。
「欲張り桃太郎」(1998年)。山本タカトで検索するとキーワードで「桃太郎」が並ぶのが気になって調べると、ネットの一部で山本タカト版桃太郎の絵が話題になっているのですね。