マドンナ / Madonna
愛する女性であり聖母マリアである表現
概要
作者 | エドヴァルド・ムンク |
制作年 | 1894 |
メディウム | 油彩、キャンバス |
サイズ | 90 cm × 68 cm |
コレクション | ムンク美術館 |
《マドンナ》は、1892年から1895年にかけてエドヴァルド・ムンクによって制作された油彩作品。半身の裸体の女性像が描かれたもので、《叫び》同様に複数のバージョンと版画版が存在する。
オスロ・ムンク美術館が所有していたバージョンは、2004年に盗まれたが2年後に取り戻すことができた。またノルウェー国立美術館とドイツのハンブルク美術館が、別のバージョンを1点ずつ所蔵している。ほかに実業家のネルソン・ブリッツが所有しているバージョンや、1999年にスティーブン・A・コーヘンが購入したバージョンが存在する。
版画版では女性の周辺を精子で装飾されたようなフレームが作られており、左下には胎児のようなものが描かれているのが特長である。1893年の絵画版にも当初は版画版とよくにた装飾的なフレームが描かれていたが、のちに取りのぞかれた。
愛人と聖母マリアを混合
作品のタイトルからして聖母マリアを描いたものであると思われるが、マリアの表現としては非常に珍しいものである。聖母マリアを描いているのか、それとも愛する女性を描いているのか議論されている。
というのもムンクは、「愛する女性」と「マリア」の両方を含むタイトルをよく使用しているからである。また、当時のムンクはもともと宗教的な作品の作家でもなく、キリスト教徒としても知られていなかった。
ムンクの友人であり、作品でモデルをつとめたダニー・ジュエル・プリッツィーヴェスの美の完全性を強調し、また女性時代の理想像として彼女に対する崇拝性と聖母マリアを混同した表現として見られることもある。