【作品解説】エドヴァルド・ムンク「灰」

灰 / Ashes

人妻との不倫の憂鬱を描いた象徴主義作品


エドヴァルド・ムンク《灰》(1894年)
エドヴァルド・ムンク《灰》(1894年)

概要


作者 エドヴァルド・ムンク
制作年 1894年
メディウム 油彩、キャンバス
サイズ 120.5 x 141 cm
コレクション オスロ国立美術館

《灰》は、1894年にエドヴァルド・ムンクによって制作された油彩作品。ムンクは1885年から数年間、人妻ミリー・タウロヴとの禁じられた恋愛に陥り、苦しい思いをしていた時期があった。この絵画に描かれている女性はミリー・タウロヴに非常によく似ているので、おそらくそのときの苦しみを描いたものだろう。彼女の背景には鬱蒼とした木々が描かれているが、ムンクと彼女は2人はそこで会っていたといわれる。

 

赤髪の女性は白いドレスのボタンを外し、下の赤いスリップを見せた状態で真っ直ぐ直立している。彼女は頭に両手をおいて、誘惑をしているように見える。手前の男性は頭を抱えている憂鬱そうだが顔は見えない。おそらくムンク自身と思われる。彼らの背景には暗い森があり、周囲の地面には色々な道具が散乱している。2人が困難な時間を過ごしている恋人であることは明らかである。

ミリー・タウロウ
ミリー・タウロウ