【美術解説】ヴィジョナリー・アート「幻想的なファインアート」

ヴィジョナリー・アート / Visionary Art

地下に埋もれたファインアート


概要


ビジョナリー・アート(Visionary art)

は、オカルト、不思議現象、宗教美術など、内面的な世界を視覚化した美術である。ウィーン幻想派、H・R・ギーガー、Alex Greyなどが代表的な画家である。その直接のルーツはシュルレアリムにあり、サイケデリックアートや宗教美術、あるいは一種の民族芸術やアール・ブリュットも含まれる。 日本では幻想芸術と呼ばれることもある。

 

第二次大戦後の1946年、オーストリアのウィーンで設立されたビジョナリー・アーティスト集団「ウィーン幻想派(Vienna School of Fantastic Realism)」は、現代のビジョナリー・アーティストたちに強い影響を与えている。メンバーは、ルドルフ・ハウズナー、エルンスト・フックス、エーリッヒ・ブラウアー、アントン・レームデン、ボルフガング・フッターなどである。またグスタフ・クリムトとエゴン・シーレなどが直接ウィーン幻想派に与えている影響は多い。

 

アール・ブリュットと異なるのは、ヴィジョナリー・アーティストの多くは、西洋絵画の伝統的な技術を習得していることである。しかし、アール・ブリュットは学術的に研究の対象となっているにも関わらず、アカデミックな技術を習得したヴィジョナリーアートは研究対象とならなかったため、ロウブロウアートと同様、戦後はアンダーグラウンドのアートであらざるを得なかった。

 

ビジョナリーアートという言葉が初期の段階で使用された例としては、ポール・ラフォリーが1967年に参加したニューヨークの展覧会 「The Visionaries」がある。この展覧会の企画者であるチャールズ・ジュリアーノ (Charles Giuliano ) がヴィジョナリーアートという言葉を主張した理由は、ポール・ラフォリーがドラッグと無縁なアーティストであるためサイケデリック・アートという言葉は展覧会の方向性に相応しく無かったからである。

 

1961年にブリジッド・マーリンによって創設された「Society for the Art of Imagination」は、ビジョナリーアーティストをつなげる組織として重要な役割を果たしている。最近では自費出版、インターネットを使った宣伝、さらに「ブーム・フェスティバル」や「バーニング・マン」といったトランスパーティを通して、現代の多数のビジョナリー・アーティストたちを横断的に結びつけ、コラボレーション活動を実現させている。

 

日本では幻想芸術と呼ばれることがあり、こうした流れにある作家の多くは、ゴシックイベントトランスパーティなどのアンダーグラウンドシーンやドラッグカルチャーのイベントなどで活躍しているケースが多く、現代美術や近代美術の画廊でみかけることはあまりない。1971年に朝日新聞社主催によって開催された「現代の幻想絵画展」の出品者は、平山郁夫、近藤弘明、工藤甲人といった画壇画家で構成されたものであり、決してアングラでもアウトサイダーでもなかった。 

作家


アレックス・グレイ
アレックス・グレイ
H.R.ギーガー
H.R.ギーガー

関連リンク


https://en.wikipedia.org/wiki/Visionary_art

Mixi:Visionary Art

際的な美術界で新たな議論の対象として浮上してきたヴィジョナリーアート(Visionary Art )に関する情報交換を目的としているコミュニティ。ヴィジョナリー・アート情報豊富。