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【美術解説】バルテュス「20世紀少女絵画において最も重要な画家」
アーティスト一覧 · 11日 2月 2023
バルタザール・ミシェル・クロソフスキー・ド・ローラ(1908年2月29日−2001年2月18日)ことバルテュスは、ポーランド系貴族出身のフランス人画家。 生涯を通じて近代美術界の潮流や慣例に抵抗し、おもに少女をモチーフとした独自の具象絵画の世界を築いたことで知られている。 バルテュスにとっての「完璧な美」とは、「出来上がった状態」ではなく「移行している状態」のことであり、そうした美学上、少女はバルテュスにとってぴったりのモチーフだったという。 バルテュスは、ピカソやモディリアーニをはじめ、当時の前衛芸術家たちと交流する機会が多かったため、美術様式とは関係なく近代美術の画家として位置付けられることが多い。
【作品解説】バルテュス「夢見るテレーズ」
作品解説 · 18日 1月 2023
《夢見るテレーズ》は1938年にバルテュスによって制作されて油彩作品。作品のモデルはパリで隣に住んでいた失業者の娘テレーズ・ブランシャールで、バルテュスの最初の少女モデルである。それまでの女性モデルは見かけはほぼ成人女性だった。 バルテュスにとってテレーズは、第二次世界大戦の足音が迫り来る暗い世相を反映したような憂鬱な雰囲気があり、それがバルテュスを惹きつけたという。

24日 2月 2019
「猫と裸婦」は1948年から50年にかけてバルテュスによって制作された油彩作品。65.1×80.5cm。モデルはジョルジュ・バタイユの娘のローランス・バタイユ。 椅子に座って官能的な表情でのけぞる裸婦の背後には、どこか官能的な裸婦を真似るような、しかし表情は官能的ではなく笑っている猫が描かれている。猫は基本的にバルテュスの自画像なので、バルテュスと思って良いだろう。裸婦の足元に洗面器、タンスの上に水差し、椅子には白いタオルがかけられいるので、水浴びをした直後の絵であると思われる。
24日 2月 2019
《ギターのレッスン》は、1934年にバルテュスによって制作された油彩作品。161cm×138.5cm。個人蔵。 本作品は、女教師が少女の髪をひっぱり折檻しているシーンを描いている。少女のスカートがまくりあげられ、下半身が露出し、少女は抵抗するかのように女教師のドレスを引っ張り、女教師の胸をはだけさせている。手前には小さなギターが投げ出されるように置かれている。 バルテュスの解説によると、この女教師は少女の身体をギターの代わりに弾いているという。ボードレールの『悪の華』の中の「レスボス」の一節を引用して説明している。「なぜならレスボスが、地上の万人の中から私を選んだのだ、/島に花と咲く処女たちの秘密を歌うようにと」。 手鏡を見ている少女のモデルは、第二次世界大戦中バルテュスが一時期住んでいたスイスのフリブール郊外にいたオディル・ビュニョンである。少女は右胸を半分のぞかせ、左膝を立てて、右脚を伸ばし股を開き、手鏡を見ている。少女の左側から光が入り、光がさしこむテーブルに置かれた洗面器は、西洋美術においては伝統的に「純潔」を象徴するといわれる。

24日 2月 2019
《白い部屋着の少女》は、1955年にバルテュスによって制作された油彩作品。モデルは1954年にバルテュスが住むシャシーにやってきたバルテュスの姪のフレデリック・ティゾン。 1954年から1962年までの8年間、出口節子と出会うまでバルテュスのモデルをつとめ、ほかに《めざめ》や《窓辺の少女》のモデルとしても知られる。
24日 2月 2019
《美しい日々》は、1944年から1946年にかけてバルテュスによって制作された油彩作品。148cm ×199cm。ワシントン、ハーシュホーン博物館と彫刻の庭が所蔵している。 手鏡を見ている少女のモデルは、第二次世界大戦中バルテュスが一時期住んでいたスイスのフリブール郊外にいたオディル・ビュニョンである。少女は右胸を半分のぞかせ、左膝を立てて、右脚を伸ばし股を開き、手鏡を見ている。少女の左側から光が入り、光がさしこむテーブルに置かれた洗面器は、西洋美術においては伝統的に「純潔」を象徴するといわれる。

24日 2月 2019
《おやつの時間》は、1940年にバルテュスによって制作された油彩作品。72.9 cm×92.8 cm。テート美術館所蔵。モデルの少女は、第二世界大戦中バルテュスが一時期住んでいた農家の娘ジョルジェット・コスラン。 第二世界大戦の勃発とともに動員されたバルテュスは、アルザスに送られるものの、負傷してパリに帰還する。パリがドイツ軍に占領された後、バルテュスは、妻のアントワネットとともにフランス南東部のシャンプロヴァンに逃れた。本作品はそのような背景で描かれた作品である。
24日 2月 2019
《鏡の中のアリス》は、1933年にバルテュスによって制作された油彩作品。162.3 cm×112 cm。ポンピドゥー・センター所蔵。 モデルは兄の学友で翻訳家のピエール・レリスの妻ベディである。本作品は、1934年にパリのピエール画廊で開催されたバルテュスの初個展で展示された作品の1つ。

24日 2月 2019
《朱色の机と日本の女》は、1967年から1976年にかけてバルテュスによって制作された油彩作品。145cm×192cm。ブレント・R・ハリスコレクション所蔵。 モデルは節子夫人で、日本風の室内の中で、鉢巻を締めた節子夫人が、姿見の前に膝をついてのぞき込んでいる。着物は右肩を残してはだけ、帯でかろうじてとまっている。 身体は引き伸ばされて様式化され、角張った左肩が幾何学的な印象さえ与える。このバルテュス独特の角張った表現は、初期の『嵐が丘』の挿絵のキャシーまでさかのぼるバルテュス独特の「型」の1つで、その後《トランプ》シリーズなどで何度も描かれてきた。