《エディスの肖像》は、 1915年にエゴン・シーレによって制作された油彩作品。デン・ハーグ市美術館に所蔵されている。
描かれているのはエゴン・シーレの婚約者エディトである。エディス・ハルムスは、シーレのアトリエの向かい側に住んでいた中産階級の鍵屋の娘だった。
1914年、シーレは彼と長く交際していたウォーリーと親密な関係にあったにも関わらず、向かいに住んでいるエディトと恋愛関係を持ちはじめ、ついには婚約にいたる。1915年6月17日、25歳でエディトと正式に結婚した。
エディスの描き方はこれまでのシーレ独特の暗み、歪み、上目遣いの女性とは明らかに異なる。エディトは正面を向き、人形のように明るく微笑んでいる。シーレのアトリエのカーテンから作られたストライプのドレスを身に着け、腕をだらりと下げたエディスは、人間味に欠ける。
婚姻期間は、わずか3年間しか続かなかった。離婚したのではなく、エディスは1918年10月28日、妊娠六か月のときにスペインかぜで死亡した。シーレもその3日後に、28歳で同じ病気のため死亡した。