【作品解説】マルセル・デュシャン「ホワイト・ボックス」

ホワイト・ボックス / In the Infinitive(The White Box)

7つのグループに分類されたメモ集


マルセル・デュシャン《ホワイト・ボックス》1967年
マルセル・デュシャン《ホワイト・ボックス》1967年

概要


作者 マルセル・デュシャン
制作年 1967年
メディウム 79枚のメモのファクシミリを白いプレキシグラスの箱に収めたもの
サイズ 33.3 × 29 cm,150部限定

《ホワイト・ボックス》は1967年にマルセル・デュシャンが制作したオブジェ作品。79枚のメモを白いプレキシグラスの箱におさめたもの。ケースの表面には、《大ガラス》の水車の部分がシルク・スクリーンで刷られている。

 

デュシャンは晩年になって《グリーン・ボックス》と同時期のメモの複製を集めた箱《ホワイト・ボックス》を発表している。メモの複製は《グリーン・ボックス》と同様、実物に忠実な形でなされているが、《グリーン・ボックス》がバラバラの断片であったのに対し、《ホワイト・ボックス》は全体のメモを7つのグループに分類しているのが特徴である。

 

そのグループとは「思弁」「辞書と地図」「色彩」「ガラスとの新しい関連」「外観と出現」「透視図法」「広がりと連続」の7つである。ただし各グループ内のメモの配列は、グリーン・ボックス同様順不同となっている。

 

最大の特色は多次元幾何学に関するメモで、1913年頃にデュシャンがポワンカレ、ジェフレ、ポウロウスキーなどの著作から学んだものである。また具体的な絵具の配合のメモもあり、《グリーン・ボックス》よりも実際的な面がある。


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■参考文献

・マルセル・デュシャン展 高輪美術館 西武美術館