聖アンナと聖母子 / The Virgin and Child with Saint Anne
3人の身体が調和を取れた三角形
作者 | レオナルド・ダ・ヴィンチ |
制作年 | 1502-1516年 |
サイズ | 168 cm × 112 cm |
メディウム | ポプラ板に油彩 |
所蔵者 | ルーブル美術館 |
《聖アンナと聖母子》は1502年から16年にかけてレオナルド・ダ・ヴィンチによって制作された油彩作品。10年以上かけて制作されたもので、丁寧なスフマート技法が使われている。聖アンナの右足やマリアの顔は未完成になっている。
幼子と聖母マリアと、2人を慈愛の眼差しで見つめるマリアの母、聖アンナの3人が描かれている。マリアは聖アンナの膝に座っており、三角形の構図になっている。三世代が一直線に並ぶことで、3人の身体が調和を取れた三角形を形づくっている。
この絵には下敷きになったと思われるカルトン(着彩画と同寸で厚紙に描かれる下絵)が存在する。カルトンとの違いは、重心がより上に集まっていること、キリストに祝福を与えられる洗礼者ヨハネが帰依、代わりに子羊が描かれている。アンナの天を指し示す手も消えている。
フランソワ1世の庇護のもとレオナルドがアトリエにしていたフランスのクルー城でこの絵を見た、と同地を訪れた枢機卿ルイージ・ダラゴーナの秘書、アントニオ・デ・ベアティスは書いている。
レオナルドが没した後、1540年までの間はフランスにあったようだ。フランス国王が自分の礼拝堂に飾っていたこともいわれる。その後の来歴は不明だが、1629年にイタリアのカザーレ・モンフェッラートでリシュリー枢機卿が購入し、1636年にフランス国王に献上。現在ルーブル美術館が所蔵している。