恋人たちのつむじ風:ダンテ『地獄編』第五部挿絵
The Lovers' Whirlwind illustrates Hell in Canto V of Dante's Inferno
概要
作者 | ウィリアム・ブレイク |
制作年 | 1824-1827年頃 |
サイズ | 368 × 522 mm |
媒体 | 紙に鉛筆と水彩とペンとひっかき |
所蔵 | バーミンガム市立美術博物館 |
《恋人たちのつむじ風:ダンテ『地獄編』第五部挿絵》は、1824年から1827年頃にウィリアム・ブレイクによって制作された水彩画。約36.8 × 52.2cm。バーミンガム所蔵。
この水彩画は「地獄篇」第5部25-455,127-142の挿絵で、この連作の中で最も有名で人気が高い作品である。恋人たちの罪深い体が天に昇る様子が描かれている。
ブレイクは、旧約聖書の『ヨブ記』の、彫刻や挿絵を制作していた。これが大成功を収め、次の作品を依頼され、ダンテの挿絵シリーズの手掛けるようになった。残念なことに、ブレイクは依頼を終える前の1827年に亡くなった。彼はわずか7枚の挿絵を制作しており、その1枚が本作品である。
ダンテはいまだ肉欲の罪人の圏の中で中央に倒れて横たわっている。ヴァージルが海岸に立ちダンテに、愛に影響されて死んでしまった人たちのビジョンを見せている様子が描かれている。
つむじ風はさまざまな男女のカップルとおよび、フランチェスカ・ダ・リミニと彼女の夫ジャンチオッティの弟で恋人のパオロ・マラテスタの物語である。フランチェスカは13世紀の領主の娘で、夫の弟パオロに恋をしていた。彼女の夫は激怒し、裏切られたので、二人とも殺すように命じた。
また、ダンテの姿はブレイク自身の作品《憐れみ》をも暗示している。
つむじ風のような構図のエネルギーは、ブレイクがこの禁じられた恋の物語によって引き起こされたエネルギーの爆発に賛嘆を禁じえないことを暗示している。
ウィリアム・ブレイクは1757年11月28日、7人の子供の3番目に生まれた。この挿絵を制作している1827年に70歳で亡くなった。生涯、彼の作品はほとんど知られなかった。彼は現在、詩と視覚芸術の両方の歴史の中で重要な人物と見なされている。