【作品解説】ルネ・マグリット「幸福の兆し」

幸福の兆し / The Good Omens

第二次世界大戦終結の予見


ルネ・マグリット「幸福の兆し」(1944年)
ルネ・マグリット「幸福の兆し」(1944年)

概要


作者 ルネ・マグリット
制作年 1944年
メディウム 油彩、キャンバス
サイズ 40 cm × 60 cm
コレクション ブリュッセル・バーガー・コレクション

《幸福の兆し》は、1944年にルネ・マグリットによって制作された油彩作品。妻ジョルジェットの姉へのプレゼントとして描かれた作品。

 

第二次世界大戦でベルギーがドイツに占領されている間、マグリットはブリュッセルに残り、ブルトンをはじめパリのシュルレアリスムグループと決別する。1943年から44年にかけてマグリットの絵画は、これまでよりもカラフルで簡潔になっていく「陽光に満ちた」時代に移るが、その時代の作品である。平和の象徴である鳩が生き生きとした色彩の花々とともに描かれている。

 

これはドイツ占領下のベルギーでの生活におけるマグリットの疎外感や自暴自棄を表現したもので、本人の不安な内面とは正反対の希望的な表現をしている。マグリットは第二次大戦の近々の終結を予見してたとも考えられている。