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【作品解説】マックス・エルンスト「沈黙の眼」

沈黙の眼 /  The Eye of Silence

SF作家に多大な影響を与えた絵画


マックス・エルンスト《沈黙の眼》,1933-1934年
マックス・エルンスト《沈黙の眼》,1933-1934年

概要


作者 マックス・エルンスト
制作年 1943-1944年
メディウム 油彩、キャンバス
サイズ 110 cm × 143 cm
コレクション セントルイス・ワシントン大学

《沈黙の眼》は、1943年から44年にかけてマックス・エルンストが制作した絵画。のちにSF作家の多くに影響を与えた作品として知られている。

 

デカルコマニーという技法を用いて、キャンバス上に気まぐれなテクスチャーを作ったあと、それを岩盤や動物、植物、建築物の形に作り変えている。

 

この作品について「厳粛な空の下、岩のように硬いものとゼラチン状のものが共存する原初的な風景」と批評されている。

 

また、「一部は植物、一部は岩石、一部は宝石をちりばめたバロック宮殿。動物、鉱物、植物が融合したこの作品は、骨、布、羽、石などの質感を持ち、中景の湖や裂け目は、空に向かって非論理的に置かれた岩から削り出されている」と評されている。

 

この絵の一部(左上)は、1958年に出版されたSF小説『A Case of Conscience』のペーパーバック版の表紙絵として使用された。

 

イギリスのSF作家J・G・バラードもこの絵に影響を受け、バラードの1970年の小説『The Atrocity Exhibition』の主要な資料の1つとなった。


■参考文献

https://en.wikipedia.org/wiki/The_Eye_of_Silence、2021年12月17日アクセス