国境を越えたシュルレアリスム展
世界各地の50年にわたるシュルレアリスム表現の歴史
日本から古賀春江の作品が出品
アメリカのメトロポリタン美術館(2021年10月11日〜2022年1月30日)とロンドンのテート・モダン(2022年2月24日〜8月29日)で開催予定の展覧会『国境を越えたシュルレアリスム』に日本から古賀春江《海》が出品されることがわかった。ほかに、山本悍右の作品も出品される。
この画期的な展覧会は、革命的な芸術運動の歴史を書き換えるだろう。
シュルレアリスムは、芸術の様式ではなく、心の状態を表現である。もっと具体的にいえばシュルレアリスムが表現する心の状態とは、現実を覆すことを目的とし、日常の中に不気味なものを見つけたり。私たちの無意識の欲望を利用し、夢に命を吹き込む。
そして、世界中の多くのアーティストにとって、シュルレアリスムは権威に挑戦し、新しい世界を想像する手段となっている。
これまでのシュルレアリスムの芸術史、1920年代のパリを中心に語られてきた。しかし、今回の展覧会では、膨大な調査に基づいて、世界各地の50年にわたるシュルレアリスム表現の歴史を紹介する。ブエノスアイレス、カイロ、リスボン、メキシコシティ、プラハ、ソウル、東京など、世界中のアーティストたちがシュルレアリスムからどのようなインスピレーションを受け、どのように結束していったのかを紹介する。
図録「国境を越えたシュルレアリスム」
この画期的な展覧会にあわせて、2021年10月26日に図録もメトロポリタン美術館から出版される。著者はステファニー・ダレッサンドロとマシュー・ゲイル。
この画期的な本は、コロンビア、チェコスロバキア、エジプト、日本、メキシコ、フィリピン、ルーマニア、シリア、タイ、トルコなど、さまざまな場所で1920年代から1970年代後半にかけての影響と遺産をたどり、シュルレアリスムの従来の歴史を書き換えようとするものである。
そうすることで、根本的に国際的な性格と革命的な芸術的、文学的、そして哲学的運動の永続的な重要性のより包括的で正確な理解を提示するだろう。
ダリ、エルンスト、カーロ、マグリット、ミロなどの有名な人物と多くの過小評価されているアーティストによる300を超える芸術作品で鮮やかに描かれたこの広大な本は、歴史、地理、国籍の境界を越えて挑発的に再描画する。
シュルレアリスム運動の地図、その視覚言語、理想、理論、そして実践は、パリの起源から遠く離れた文脈で組み立てられたのか。
40人を超える著名な国際的な学者からの寄稿により、アイデアの伝達に使用されるチャネルなどのテーマが探求されている。政治的抑圧、社会不安、植民地主義の影響の課題に対するアーティストの反応。20世紀の避難と亡命の経験。
■参考文献
・https://www.metmuseum.org/exhibitions/listings/2021/surrealism-beyond-borders、2021年7月28日アクセス
・https://www.tate.org.uk/whats-on/tate-modern/exhibition/surrealism-beyond-borders、2021年7月28日アクセス