【注目のアーティスト】大友昇平「日本の伝統文化とアンダーグラウンドの融合」

大友昇平 / Shohei Otomo

日本の伝統文化とアンダーグラウンドの融合


大友昇平《平成聖母》,2019年
大友昇平《平成聖母》,2019年
生年月日 1980年生まれ
国籍 日本
スタイル ドローイング、スカルプチャー、イラストレーション
関連人物 大友克洋
公式サイト http://www.shoheiotomo.com/

大友昇平(1980年生まれ)は日本の画家。「SHOHEI」名義で活動をすることもある。ボールペンによる緻密なドローイング画が知られている。父親は大友克洋

 

ヤクザ、刺青、力士、花魁、警察、ヤンキー、日章旗など現代日本のポップ・カルチャーと反発するようなものと日本の伝統文化や世界のアンダーグラウンドカルチャーを組合せたモチーフ。また、日本の伝統芸術である浮世絵や西洋の古典的絵画を融合した美術スタイルが特徴である。

 

伝統主義と進歩主義、東洋と西洋の世界、秩序とカオスなど対立する概念が併存し、緊張を生み出している

 

2000年代から本格的に画家として活動する。おもに、ウェブサイトに作品を発表してインターネット経由で認知されはじめ、東京、パリ、ミラノ、メルボルン、香港など世界中で展示活動を行ってきた。

 

2019年に作品した《平成聖母》は、香港民主主義デモ運動に大きな影響を与え、本作を基盤にし二次創作された香港民主化ポスターが作られ、現在、香港の街のいたるところに貼られている。

略歴


大友昇平は1980年に東京で生まれ育った。父は漫画家の大友昇平。3歳、もしくは4歳のころから絵を毎日絵を描きはじめ、幼少期からアーティトになると考えていたという。

 

父克洋は、昇平に対して特にドローイングや美術教育をすることはなく、また、昇平自身も父親の芸術スタイルの影響を意識的に避けていた。しかし、現在は「父の影響を避けてきたが、今では私の作品に強く影響が現れている」と話している。

 

大友は、多摩美術大学在学中に油彩を学んでいたが、画材が高価なためペン画に切り替える。銀色が仕上げが残ってしまう鉛筆よりもボールペン画を好んだ。どこででも80円で購入できる普通のボールペンを使っているが、高級蒔絵万年筆Namikiを使った作品もある。オブジェクトの着色にはマーカーを使用している。

 

大友は通常板紙に絵を描くが、日本のあるギャラリー展示会では、ライブスケッチセッションで人体モデルにアクリル絵具を使ったこともある。

 

一枚のイラストレーションを作成するのに最大1ヶ月の時間を費やしている。2017年にオーストラリアで開催された個展では、初めてスカルプチャー作品に挑戦。力士の塑像を作り、身体には刺青のようなグラフィックを描いた。

 

大友の作品はサイバーパンク的な要素を持つハイパーリアリズムと批評されることもある。大友の作品に描かれる人物の多くは目をゴーグルで覆う傾向があるが、その理由については「目を見せるとキャラクターの存在が絵を上回ってしまう」と解説している。

 

大友が使用するカラーは、黒、白、赤のみだが、これは古代の日本の化粧の色の組合せに影響を受けているという。

 

大友の最初の個展は2000年代初頭にアメリカのカンザスシティにあるギャラリーで開催された。2012年、オーストラリアでの初個展「 Fool's Paradise」を開催、2017年にオーストラリアで3回目の個展を開催。オーストラリアのギャラリーのディレクターで、バックウッズ・ギャラリーのアレクサンダー・ミッチェルは、大友につてい「私が知っている最も才能のある人物」と称賛している。


■参考文献

http://www.shoheiotomo.com/、2020年1月23日アクセス

https://en.wikipedia.org/wiki/Shohei_Otomo、2020年1月23日アクセス