我が子を食らうサトゥルヌス(ルーベンス)
子孫を殺すことによる優越感
概要
作者 | ルーベンス |
制作年 | 1636-1638年 |
メディウム | キャンバスに油彩 |
サイズ | 182,5 × 87 cm |
所蔵者 | プラド美術館 |
《我が子を食らうサトゥルヌス》は、1636年から1638年にかけて、フランドル地方の画家ピーテル・パウル・ルーベンスが制作した油彩絵画。現在はマドリードのプラド美術館に所蔵されている。
ルーベンスは、神話に登場するサターンという神が、権力を維持するために自分の子供を食べてしまうという話を、穏なまでに淡々と描いている。サターンは自らの子孫を潰すことによって永続的な優越感を得ているのだ。
サトゥルヌス神は、一般的な図像学的教訓に忠実に、老人の姿で描かれており、右手には彼の不変の属性である大鎌を握り、それを使って自らを安定させようとしている。手に持つ大鎌は死神の象徴であり、農耕の神であったサトゥルヌス神を示すものである。
一方、無防備な子どもは、身動きがとれなくなり、助けを求めて叫び、苦悶の表情を浮かべながら、見る者に視線を向けています。
画面上部の3つの星は、制作の数十年前の1610年にガリレオが発見した土星を表している。サトゥルヌスとは土星という意味である。
中央の星は惑星であり、他の2つの星は土星と並ぶ衛生だと考えていた。実際には、土星の周りにある環だが、当時のガリレオの望遠鏡では見分けることができなかった。
スペインのフィリップ4世からパラダの塔内に飾るインテリアのために注文されたもので、ルーベンスがイタリア旅行時に目にしたミケランジェロ作品の影響が見られる。
スペインの画家フランシスコ・デ・ゴヤが同じ伝承をモチーフとする『我が子を食らうサトゥルヌス』を描いている。