ルドルフ・スティンゲル / Rudolf Stingel
建築を絵画に変容させるコンセプチュアル・アーティスト
概要
生年月日 | 1956年 |
国籍 | イタリア |
表現形式 | 絵画、インスタレーション |
ムーブメント | コンセプチュアル・アート |
ルドルフ・スティンゲル(1956年生まれ)はタリア人画家。コンセプチュアル・アーティスト。ニューヨークとミラノを基盤にして活動している。展示空間全体を抽象的な模様のカーペットで覆い尽くすインスタレーション作品がよく知られている。
スティンゲルの作品は、鑑賞者に対して芸術への知覚に疑問をもたせ、考えさせようとする典型的なコンセプチャル・アートとみなされている。ゴム、カーペット、発泡スチロール、塗装アルミニウム、ポリウレタンなど通常の素材とは異なるさまざまな素材を使い、伝統的なメディウムである「絵画」に対して、根本的な疑問を投げかけ、反映させた作品が多い。
1999年、2003年、2013年のヴェネツィア・ビエンナーレに参加。またシカゴ現代美術館やニューヨークのホイットニー美術館で回顧展を開催している。現在はニューヨークに在住して制作を続けている。
略歴
スティンゲルは、1980年代後半頃ぐらいから独特な赤、黄、青などの原色が薄く透けて見えるが全体的に銀色・モノクローム調になっている絵画作品で注目されるようになった。
1990年代になるとスティンゲルの抽象絵画は、黒い平面を横切るようになる純粋で鮮やかな色彩が、溢れ出し、滴り落ち、押し付けられるような作品になる。
1989年のヴェネツィア・ビエンナーレで彼は、英語、イタリア語、ドイツ語、フランス語、スペイン語、日本語で自身の絵画作品の制作マニュアルをイラスト付きで解説した書籍『Instructions』を出版する。この書籍のマニュアルに従うことで、誰でもスティンゲルと同じような絵画を制作できるようになっている。
絵画は特定の色で厚めのレイヤーを塗られるところから始まり、次にガーゼの小片をキャンバスの表面に置いてスプレーガンを使って全体を銀色に染め上げる。最後にガーゼを取りのぞくと豊かなテクスチャな表面ができあがる。
制作意図についてスティンゲルは、マニュアルに単純に従っていくだけで誰もが抽象絵画を生み出すことができると話している。
1990年代初頭に、スティンゲルはオレンジ色のアクリル絵画が流し込まれた半透明樹脂製のラジエーター彫刻を制作する。通常のラジエーターのように設置されているにも関わらず、その作品はまるで大理石のような琥珀の輝きを放ち、純粋で即物的な物体への認識に反発した。
また1990年代にスティンゲルは、黒、モノクローム、白などののカーペットを使って展示スペースの壁や床を覆いつくしインスタレーション作品を発表する。建築物を絵画に変容せることによって、絵画と空間における関係性を探求し始める。1993年に、スティンゲルはヴェネツィア・ビエンナーレで、壁に糊付けされた豪華なオレンジのカーペットを展示。