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【作品解説】パブロ・ピカソ「母と子」

母と子 / Mother and Child

ピカソ新古典主義時代の代表作


概要


作者 パブロ・ピカソ
制作年 1921年
メディウム 油彩、キャンバス
サイズ 142.9 cm x 172.7 cm
コレクション シカゴ美術館

《母と子》は1921年にパブロ・ピカソによって制作された油彩作品。

 

1917年にピカソは、ロシアの芸術プロデューサー、セルゲイ・ディアギレフの「ロシア・バレエ団」の舞台衣装をデザインするためにローマを旅行する。そのさいにピカソは古代ローマやルネサンスなどの古典様式に大変感銘を受け、自身の作品に古典様式を導入しはじめるようになった。これがピカソの新古典主義と言われるスタイルのころで、ドミニク・アングルの「オダリスク」やルノワールのヌード絵画からはっきりと影響を受けていた。

 

《母と子》は、アングルやルノワールの影響を受けて描かれた作品で、また1921年はピカソがロシアの踊り子であるオルガと結婚し、第一子が生まれた年でもある。

 

新しく父となったピカソは1921年から1923年にかけて「母と子」を主題とした作品を多数制作しており、少なくとも12作品は存在している。

 

この作品では母の膝の上に子どもが座って、母に触ろうとしている。ギリシア風ガウンに身を包んだ母親は、膝の上の子どもをじっと見つめる。背景はシンプルに描かれた砂場と海と空である。

 

母と子に対するピカソの視点は感傷的なものではない。この時代のピカソ自身の人生を絵に反映しており、家庭的な平穏と安定が見られる。

 


■参考文献

・『パブロ・ピカソ』タッシェン社