【美術解説】桂典子「幻想的な体内の世界」

桂典子 / Noriko Katsura

女性体内を幻想的に表現


概要


桂典子(1988年生まれ。山口県出身)は日本の画家。2013年武蔵野美術大学大学院造形研究科卒業。デビュー時から最近の個展まで一貫した表現内容は「生きている」こと。

 

描くモチーフは初期は食べ物に関するものだったが、2012年以降は細胞、精子、卵子、生物、胎児といった生殖細胞のようなものに変化している。

 

桂さんの作品は、デビュー時から今までほぼ一貫して女性原理のようなものしか描いていない。初期の食べ物の絵は過剰な絵画を描く人だなというぐらいでそれほど気になかったが、その後、精子と卵子の生殖器をミニマルアートとシュルレアリスムの融合のようなかんじで表現した個展「Sphere」で、これはただものではないと感じた。

 

翌年の2013年桜木画廊で行われた個展では、「Sphere」で受精して誕生した生命が胎内で成長していく胎児を抽象表現風に描いているように思えた。今年8月に日動画廊で見た彼女の作品が上のもので、テーマは去年と変わらず子宮の中の胎児の様子を描いたものだが、抽象表現のようなアグレッシブさはなくなりポップになっていた。

 

なお、彼女はクリムトやウィーン幻想派あたりの幻想絵画の影響がけっこうあるという。

個展「sphere」(2012年) 全作品球体オブジェのミニマルとシュルレアリスム風。
個展「sphere」(2012年) 全作品球体オブジェのミニマルとシュルレアリスム風。
個展「桂典子個展」(2013年) 抽象表現風にやや激しい。
個展「桂典子個展」(2013年) 抽象表現風にやや激しい。
グループ展(2014年) ポップな感じに。タコの足に北斎のようなエロティシズムを感じる。
グループ展(2014年) ポップな感じに。タコの足に北斎のようなエロティシズムを感じる。

略年譜


 

個展  
2013年 「桂典子展」「art-Link 上野-谷中2013」参加企画 櫻木画廊/東京
2012年 「SPHERE」 Gallery Art Composition/東京
2011年 第20回ARTBOX大賞展準グランプリ受賞記念桂典子展 ART BOX GALLERY /東京
2009年 「このこたちのカルナヴァル」 Gallery Art Composition/東京
グループ展  
2013年 「-Release-」 Gallery Suchi/東京
  公益財団法人佐藤国際文化育英財団第22回奨学生美術展特別出品 佐藤美術館/東京
  アートアワードトーキョー丸の内 行幸地下ギャラリー,行幸通り地下 / 東京
  上野の森美術館絵画大賞 上野の森美術館 / 東京
  東京五美大学連合卒業・修了制作展 国立新美術館 / 東京
  平成24年度 武蔵野美術大学卒業・修了制作展 鷹の台キャンパス / 東京
2012年 グループ展「composition'12-turn over a new leaf-」 Gallery Art Composition / 東京
  公益財団法人佐藤国際文化育英財団 第21回奨学生美術展 佐藤美術館 / 東京
  INTERNATIONAL YOUNG ARTIST 2012 松坂屋上野展 / 東京
  丸善・丸の内 コンテンポラリーアートセレクション 丸善丸の内 / 東京
2011年 INTERNATIONAL YOUNG ARTIST 2011 松坂屋上野展 / 東京
  INTERNATIONAL YOUNG ARTIST MARUZEN SELECTION 丸善日本橋店 / 東京
  東京五美術大学連合卒業・修了制作展 国立新美術館
  丸善・丸の内 コンテンポラリーアートセレクション 丸善丸の内 / 東京
  平成22年度 武蔵野美術大学卒業・修了制作展(鷹の台キャンパス)
2010年 第6回世界絵画大賞展(世界堂本店)
  理化学研研究所展示プロジェクト(理化学研究所横浜研究所)
2008年 「お寺でやってみ展」(妙見宮東光院,東京)
  「うたかた」(武蔵野美術大学課外センター,東京)
  「MEKENASU」(デザインフェスタ,東京ビッグサイト)
  「第34回青年美術展」(東京都美術館)
  グループ展「briliant wing展」参加