ニューヨーク・シティ / New York City
逆さまに展示されていたモンドリアン作品
概要
作者 | ピエト・モンドリアン |
制作年 | 1942年 |
メディウム | キャンバスに油彩 |
サイズ | 119.3 cm × 114.2 cm |
所蔵者 | フランス国立近代美術館 |
《ニューヨーク・シティ》は、1942年にピエト・モンドリアンが制作した油彩絵画。フランス・パリのポンピドゥー・センターにある国立近代美術館に展示されている。
なお、《ニューヨーク・シティI》というタイトルの未完成の作品(1941年作)も存在し、その作品には塗られた紙テープの帯が付随し、モンドリアンはこれを自由に並べ替えて、さまざまなデザインを試していたという。この作品は、ドイツ・デュッセルドルフのノルトライン=ヴェストファーレン美術館に展示されている。
2022年、ノルトライン=ヴェストファーレン美術館にある《ニューヨーク・シティI》が、ピエト・モンドリアン展「Evolution」の前夜祭で、キュレーターから初公開のときから長年逆さまに展示されていたことが発表される。
1944年に撮影されたアーティストのスタジオの写真から判明したという。絵画の損傷を避けるため、現在も向きは修正されていないという。
《ニューヨーク・シティI》
ガーディアン紙によれば、《ニューヨーク・シティI》は1945年にニューヨーク近代美術館(MoMA)で初めて展示されたとしているが、オランダ美術史研究所にはMoMAでの展示記録はなく、初めて展示されたのは1946年にニューヨークのバレンタイン・ギャラリーで3週間ほど展示されたとしている。
1958年にニューヨークのシドニー・ジャニス・ギャラリーに譲渡されるまで、この絵はニューヨークのピエト・モンドリアンの遺産となっていた。
その後、1980年にスイスのバーゼルにあるバイエラー・ギャラリーの手に渡り、同年末にノルトライン=ヴェストファーレン美術館によって買収された。
美術史家のスザンネ・マイヤー=ビュザーは2022年10月、ノルトライン・ヴェストファーレン州美術館で数十年にわたって作品が逆さまに展示されていたことを発表した。
《ニューヨー・シティ》が、空を表現していると言われる線群が絵の上部に密集しているのに対し、《ニューヨーク・シティI》はその線群が下部にある状態で展示されていた。
画家のアトリエにあった絵の写真でも、線が濃い方を上にした向きの絵が描かれていた。
未完成作品のため、モンドリアンがサインをしておらず向きがわからなかったのが混乱を招いた原因と推測されている。
指摘後、多くの学芸員が「間違いは明らかだ」と発言したが、作品の脆弱性を考慮し、逆さにした状態で保管することを決定した。接着剤が劣化し、テープの一部が "糸を引く "ような状態になっていたため、修正すると一部が崩壊することが懸念されている。