ネオ・ダダ / Neo-Dada
ポップ・アートの先駆け
概要
ネオ・ダダとは
ネオ・ダダは、1950年代後半から60年代にかけてニューヨークを中心に発生した前衛芸術運動。後のポップ・アートの先駆けとなり、「プロト・ポップ」と呼ばれることもある。
印刷物、日用品、廃材など大量消費社会や俗悪さを象徴する素材を使ったコラージュやレディ・メイドを応用した作品を指し、代表的な作家はロバート・ラウシェンバーグとジャスパー・ジョーンズ。
1950年代の美術の世界は、ジャクソン・ポロックを中心とした抽象表現主義が全盛をきわめていたが、ジャスパー・ジョーンズとロバート・ラウシェンバーグは、ともに抽象表現主義に影響を受けながらも、レディ・メイドやアッサンブラージュなどのダダ的手法を融合させ、新しい表現スタイルをうちだした。
ジャスパー・ジョーンズ
ジャスパー・ジョーンズは、アメリカの国旗や標的、数字などの記号をそのまま芸術表現として利用するのが特徴。
1954年頃からジョーンズが描き始めた星条旗「旗」は、誰もが知っている記号を使うすることで、本来の記号の意味(アメリカという意味)を排除させることに成功。マルセル・デュシャンの便器の意味を排除してオブジェ化したレディ・メイド作品「泉」の応用といえる。
ただ、ジョーンズは、記号や文字の本来の意味を排除してオブジェ化しつつ、それでもなお絵画としての可能性を追求した。これがのちのウォーホルのポップ・アートへとつながっていく。
ロバート・ラウシェンバーグ
ロバート・ラウシェンバーグは、身の回りのさまざまなものを寄せ集めて、コラージュなどの効果を利用した立体絵画を制作。シーツやキルトのカバーに絵具を塗ってタッチや滴りを表現するそれらを「コンバイン・ペインティング」と呼んだ。
ダダイスム、キュビスム、シュルレアリスムで見られたコラージュやアッサンブラージュの応用で、ラウシェンバーグは既製品・日用品・廃物などの身近な三次元の事物を素材として使ったこと。
さらに、それらの素材を抽象表現主義のアクション・ペインティングのような激しい筆致を引き継がれているのが特徴である。
日本とネオ・ダダ
日本でも1960年の読売アンデパンダン展に、荒川修作、吉村益信、篠原有司男、風倉省作、赤瀬川原平らが「ネオ・ダダ・オルガナイザーズ」というグループが出品するなど影響を受けている。
60年代アングラカルチャーの源泉は、ネオ・ダダにあるといっていい。このあたりは、ネオ・ダダ、アヴァンギャルド、アングラなどいろいろな言葉が使われている。
大量生産に発生した廃品などの素材を用いてオブジェ化するジャンク・アートもネオ・ダダから起こりました。ハプニングやパフォーマンスという形式を用い、反社会的意図という意味性の表現へと展開された。草間彌生がネオ・ダダのハプニングアーティストで当時有名でした。
■参考文献