ナン・ゴールディン、人為的疫病の裁判結果に抗議
毒薬で医師を欺いた製薬会社と関連していたサックラー一家
「オピオイドの過剰摂取は20年前からアメリカ人を苦しめている。この人為的な疫病によって50万人もの人々が犠牲になっているが、その起源はサックラー一家とその私企業であるパデュー・ファーマにある(ナン・ゴールディン)」
アーティストのナン・ゴールディンが主導する製薬会社パデュー・ファーマ社に対する抗議活動で、活動家たちは、今週、ニューヨーク州ホワイトプレーンズの米国破産裁判所の外に段ボール製の墓石を設置した。
これは、オピオイド系鎮痛剤「オキシコンチン」とそのメーカーであるパデュー・ファーマ社の破産裁判で提案された和解案に対して異議を申し立てたプロテスト・アートである。
2010年代にパデュー・ファーマ社がオキシコンチンの毒性について意図的に医師たちを欺いていたというスキャンダルがあり、その結果、50万人近くの命が奪われたオピオイド危機が発生した。
2017年にトランプ元大統領は、オピオイド危機について国家非常事態の宣言を予定し、これは公衆衛生上の非常事態の宣言となった。これはアメリカでのみ強く起こった事態である。
パデュー・ファーマ社は、世界有数の芸術分野の慈善家であるサックラー家がオーナーであるが、パデュー・ファーマ社の和解案は、サックラー家に包括的な免責を与え、そのメンバーを将来の訴訟から守るというものだった。
サックラー家は、個人の財産からおよそ45億ドルを支払い、パデュー・ファーマの所有権を放棄し、代わりに不正行為を認め、将来のオピオイド関連の訴訟から保護されることになる。
ゴールディンと彼女の団体「Pain Addiction Intervention Now(PAIN)」が月曜日にこのような結果に抗議した。
ゴールディンは、米国司法省がサックラー社を起訴するよう要求するスピーチを行い、サインを掲げた。同団体が掲げたバナーには、裁判所に対して「道徳的に破綻している」と言及し、活動家たちは偽の処方箋ボトルや、「one」の代わりに「oxy」と読み、「the bankrupt states of America」と書かれた偽の1ドル紙幣を裁判所前に撒き散らした。
オピオイド依存症との自身の闘いを経て、ゴールディンは2017年にPAINを設立し、以来、世界中のサックラー一家と関連のある美術館で抗議活動をしてきた。
プロテストに反応して、サーペンタイン・ギャラリーやルーヴル美術館などは、ギャラリーからサックラーの名前を削除した。また、テートやメトロポリタン美術館などでは、サックラー家からの寄付を受け取らないと発表している。
ゴールディンとPAINの抗議活動は、非倫理的な企業からの資金が、特に美術館のスタッフ通じて美術館に流入ることについての、より広範な議論を喚起した。
■参考文献
・https://hyperallergic.com/669004/pain-sackler-protest-against-purdue-settlement-transforms-courthouse-landscape-into-graveyard/、2021年8月11日アクセス