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【作品解説】ルネ・マグリット「レディ・メイドの花束」

レディ・メイドの花束 / Ready-Made Bouquet

普通の人と神秘性


ルネ・マグリット《レディ・メイドの花束》(1956年)
ルネ・マグリット《レディ・メイドの花束》(1956年)

概要


作者 ルネ・マグリット
制作年 1956年
メディウム 油彩、キャンバス
サイズ 78 cm ×58 cm
コレクション  

《レディ・メイドの花束》は1956年にルネ・マグリットによって制作された油彩作品。マグリットおなじみのモチーフである山高帽の男の背中に、ボッティチェリの《春》に描かれている女神フローラが描かれている作品である。

 

ボッティチェリの《春》に描かれる女神フローラは、その元をたどればボッティチェリの別作品《ヴィーナスの誕生》で、《春》ではそのヴィーナスに服を着せて身体を隠したものとなっている。そしてマグリットの《レディ・メイドの花束》では、山高帽の身体の一部を女神フローラが隠すという構図になっている。

 

山高帽の男はマグリットのセルフポートで「匿名性」と「凡人」「どこにでもいる普通の庶民」「無もなき人」を象徴している。その凡庸な男の背中に女神フローラが張り付いて、身体の一部を隠しているというわけである。

 

「隠す」とは「神秘性」でもあり、神秘性とヴィーナスとをかけている。「普通の人」とは、著名人や肩書のある人と違って、どう説明をしていいのか分からない。だから著名人より「神秘的」に見えることになる。

 

マグリットはこの絵について、これは帽子の男と女神フローラの結婚だといっている。

 

■参考文献

タッシェン「ルネ・マグリット」

Ready-Made Bouquet, 1956 by Rene Magritte

 

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