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【作品解説】ルネ・マグリット「リスニング・ルーム」

リスニング・ルーム / The Listening Room

グリーンアップルと神秘性


《リスニング・ルーム》1952年
《リスニング・ルーム》1952年
《リスニング・ルーム》1958年
《リスニング・ルーム》1958年

概要


作者 ルネ・マグリット
制作年 1952年
メディウム 油彩、キャンバス
サイズ 45 cm x 54 cm
コレクション メニル・コレクション

《リスニングルーム》は1952年にルネ・マグリットによって制作された油彩作品。1952年版は現在テキサス州ヒューストンのメニル・コレクションが所蔵している。1958年版は個人蔵となっている。

 

ある物体を本来あるべきところから、別のところへ移すことで新しい美やイメージを創り出す「デペイズマン」方法を利用した代表的な作品で、巨大化した緑のリンゴが部屋いっぱいに配置されている。1952年版は背景が木製の床と白のトリム、そしてガラス窓となっているが、1958年版はアーチ型の窓と灰色のレンガ造りの部屋に変更されている。

 

緑のリンゴはマグリット作品において頻繁に使われるモチーフで、ほかに有名なものでは《人の子》、《これはリンゴではない》などがある。

 

マグリットにとって緑のリンゴは「見えるもの」と「見えないもの」の間における「永遠の緊張」や「神秘性」を象徴するものであり、マグリットのセルフポートレイト作品のいくつかで、自分の姿を曖昧な状態にするために緑のリンゴを使っているという。

 

また、ある物体が本来ありえないサイズで描かれるデペイズマン手法でもあり、これと似た作品では巨大な卵の《選択的親和力》や巨大な岩が空に浮かんでいる《ピレネーの城》などがある。


 ■参考文献

The Listening Room - Wikipedia