【作品解説】バルテュス「美しい日々」

美しい日々/ Les Beaux Jours

手鏡を持つ少女シリーズの初作品


バルテュス《美しい日々》1944-1946年
バルテュス《美しい日々》1944-1946年

概要


作者 バルテュス
制作年 1944-1946年
メディア 油彩
サイズ 148 cm × 199 cm
所蔵者 ワシントン、ハーシュホーン博物館と彫刻の庭

《美しい日々》は、1944年から1946年にかけてバルテュスによって制作された油彩作品。148cm ×199cm。ワシントン、ハーシュホーン博物館と彫刻の庭が所蔵している。

 

手鏡を見ている少女のモデルは、第二次世界大戦中バルテュスが一時期住んでいたスイスのフリブール郊外にいたオディル・ビュニョンである。少女は右胸を半分のぞかせ、左膝を立てて、右脚を伸ばし股を開き、手鏡を見ている。少女の左側から光が入り、光がさしこむテーブルに置かれた洗面器は、西洋美術においては伝統的に「純潔」を象徴するといわれる。

 

暖炉の前では、赤色のセーラーを着た後ろ向きの男が薪をくべており、彼の傍らにはプリミティブな彫刻が置かれている。少女は窓からさしこむ光と暖炉の火の光の両方に照らされている。

 

赤色の服を着た男はバルテュス自身とされている。少女は薪をくべる男に無関心に見えるものの、そのポーズは挑発的である。

手鏡と少女シリーズ


手鏡を見る少女というモチーフが初めて登場したのが本作である。この手鏡シリーズはその後も《トルコ風の部屋》などさまざまな作品で反映されている。鏡は伝統的に「虚栄」の象徴とされるが、バルテュスは鏡を「虚栄」の象徴と解釈することを否定している。


■参考文献

・東京都美術館「バルテュス展」図録

 

■画像引用

https://www.wikiart.org/en/balthus/the-golden-years