イ・ブル / Lee Bul
家父長制や女性差別を主題とする韓国の現代美術家
概要
生年月日 | 1964年生まれ |
国籍 | 大韓民国 |
職業 | 現代美術家 |
公式サイト | http://www.leebul.com/ |
イ・ブル(1964年生まれ)は韓国の現代美術家。1980年後半のアートシーンで彫刻とインスタレーション形式の表現で注目を集めるようになる。現在、韓国で最も有名な現代美術家として国内外で知られている。
彼女の作品は、私たちの文化的および政治的領域に浸透している家父長制の権威や女性差別といったイデオロギーを明らかにし、それらに対して疑問を投げかけている。
彼女はこうした主題を未来社会を繁栄する形で、冷たく機械的な彫刻やインスタレーションで表現している。なかでも、女性の抑圧の形成、性の商品化などに焦点を当て作品を制作してきた。
主題やイデオロギーだけでなく、彼女自身の身体や立体的なテキスタイルアートワークを使用した革新的なパフォーマンスなど、その表現スタイルも高く評価されている。
アメリカのMoMAの招待展では、生魚を使うことで時間の経過とともに生じる腐臭の感覚を展示にもたらした。
2012年に東京・森美術館で個展を開催。
略歴
イ・ブルは1964年1月25日、韓国慶尚北道栄州市で生まれた。ソウルの公益大学で彫刻を学び、1987年に卒業。イの作品の多くは、鑑賞者が内に入り込むようなインスタレーション形式の作品である。
I Need You (Monument)
1996年から1999年にかけて、イは大規模に膨張した形態のオブジェに自身の写真を貼り付けた3つのミックスメディア・インスタレーション作品を制作している。
これらのインスタレーション作品の1つ、1996年に制作した《I Need You (Monument)》は特に評価が高い。男性器のオブジェの正面に東洋的なファッション下着姿のイの写真が大きく貼り付けられているのが特徴である。作品の下には、鑑賞者が作品に空気を送り込むためのペダルがたくさん設置されている。
注目すべきは、作品タイトルのメディウムの並列で、膨張性のあるメディウムの脆弱性と記念的に作られる覇権的な考え方とを対比している。また、ペダルの使用は伝統的な理想に対する社会貢献へと注意をひきつける。
サイボーグシリーズ
1997年から2011年に制作されたイのサイボーグ・スカルプチャーは、彼女が有名になるきっかけとなった作品である。シリーズは、1997〜1998年に《Cyborg Red》や《Cyborg Blue》の制作から始まった。これらの作品は、シリーズ後半に登場する作品と同様に、しばしば腕、脚、または両方が欠損している人の形をした形態が特徴である。
身体は砂時計の形状のため女性の身体であると読み取られるが、サイボーグというコンセプトということから性別、人種、クラスなどの分類を超越しているといえる。
スカルプチャーに添付されているコードは、回復と再構築を象徴したものだという。これらのスカルプチャーはエジプトのスフィンクスのように加えられた損傷ではなく、性別はバックグラウンドに関係なく好きな方法で作品を制作できるメッセージを伝えている。
イは、サイボーグは「分類できない不思議なものに対する私たちの恐怖と魅惑」のの比喩と述べている。
その他の主題
イの作品は1987年に韓国政府が行ったいくつかの残虐的な拷問問題に言及しているという。
■参考文献
・https://en.wikipedia.org/wiki/Lee_Bul、2019年9月11日アクセス
・https://www.lehmannmaupin.com、2019年9月11日アクセス