高松和樹 / Kazuki Takamatsu
白と黒のグラデーションで少女を表現
概要
生年月日 | 1978年生まれ |
国籍 | 日本 |
出身・居住地 | 宮城県仙台市 |
表現媒体 | 絵画 |
ムーブメント | ロウブロウ・ポップシュルレアリスム |
公式サイト |
高松和樹(1978年生まれ)は日本の画家。アメリカのロウブロウ・ポップシュルレアリムシーンで最も活躍している日本人アーティスト。サルバドール・ダリと同じく「天才」を自負する。
漆黒の背景にモノクロームの多重レイヤーを通して描かれる銃や刀を持つ少女の絵が特徴である。海外では日本の自然の驚異や漫画文化、高度に発展した科学技術と関連した"東洋的なエロティシズム”を表現していると評価されている。
高松和樹は2011年に発生した東日本大震災で大きな被害を受けた宮城県仙台市で育った。2001年に東北芸術工科大学を卒業し、2009年より日本ではギャラリー戸村を基盤にアートフェアに作品を出品している。
2013年よりアメリカやイタリアなど海外で積極的に活動をはじめ、ロウブロウ雑誌『Juxtapoz』や『Hi-Fructose』などでも定期的に特集されるようになる
現在は仙台を拠点にして制作活動をしている。これまで世界14カ国、41都市で展覧会を200回以上開催。
ほかに、独立美術協会会員、宮城県芸術協会 運営委員、東北芸術工科大学非常勤講師、女子美術大学非常勤講師をつとめている。
黒と白の配色
大学卒業後、高松は自身のこれまでの描き方を改良し、黒と白のカラーパレットだけを使って驚くべき深淵な絵画を作り出す。高松にとって「黒と白」は「善と悪」や「人種や宗教」を象徴するものであるという。高松の絵画で特徴的なグラデーションを強調したレイヤーは、「光と影」がはっきりしない「距離」を表現するものである。
伝統的絵画と現代的な絵画の融合
伝統的な絵画技術だけでなく、コンピュータ・グラフィックも使っており、伝統的なアナログ技法と現代的デジタル技法の両方が一枚のキャンバス上で融合している。
高松の制作はまずコンピュータによるシャドーマッピングから始まる。これは多くのコンピューター・ゲームやプリレンダ時に使用される3DCGによる擬似的な影生成方法と同じものである。
この方法でオブジェクト上に描かれたすべてのピクセルは、鑑賞者の距離に比例してグレーの影の濃淡が表示されるようになり、どこかホログラフのようなリアル感があらわれるようになる。
PC上のCGができあがると、今度はターポリンといいテントなどに用いられる素材に野外用顔料をジグレー版画で出力する。さらにその上からアラビアゴム製の水彩絵具の不透明な白顔料と水彩顔料を混ぜ合わせたアクリル絵の具で手彩色をほどこす。
このアナログとデジタルの両方組み合わせるきっかけとなったのは大学在学時の金井訓志によるCGを画材として特別講義だという。
主題
高松が描くモチーフはほとんどすべて女性である。女性は高松にとって未知の存在であり、ネット上では男性がなりすます姿としても使われる存在。その匿名性とそこに映し出される『現代っ子』が高松のテーマだという。
作品集
「私達ガ自由ニ生キル為ニ」
『私達ガ自由ニ生キル為ニ』は2019年9月11日発売された国内初画集。デジタルとアクリル絵画を大胆に組み合わせた手法で、唯一無二の世界観を展開する高松和樹。SNSや電子掲示板など、現代的なコミュニケーションの在り方を、モノクロームの少女に託した表現は、美術の枠を超えて多くの共感を集めている。斎藤環さん(精神科医)による跋文も収録しています。
「Hello, Here I am」
「Hello, Here I am」は、2015年2月26日にDrago社から刊行された高松和樹の1st作品集。2015年2月にイタリア・ローマにあるポップ・シュルレアリスム系のギャラリーDorothy Circus Galleryで開催された高松和樹の個展「Hello Here I Am」の図録集ともなっている。
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■参考文献
・作品集『Hello,Here I am』
・http://www.art-annual.jp/column-essay/column/31115/
・東京都美術館都美セレクションパンフレット