ソーシャルメディアにおける自撮り文化を風刺
概要
《裸の自撮り》は2015年にスイスの「アート・バーゼル」の公共スペースで、ミロ・モアレが行ったパフォーマンス・アート。
モアレは通行人と自撮りするが、モアレ自身は裸で撮影するというものである。このパフォーマンスは、現在のポップ・カルチャーや、InstagramやFacebookなどのソーシャルメディアにおける「自撮り文化」を風刺したものだという。
モアレは「私たちは現在、どこで、誰と、何をしているかを常に自撮りして露出している」という。つまり、多くの人はデジタル社会上に個人の重大なありとあらゆる「裸の情報」を展示しているのだと。それはモアレが公共空間で裸で自撮りするのと同じである。
さらに、自撮りでアップロードされる写真の大半は、自己顕示や自画自賛を目的としているとモアレは主張する。デジタル社会における自己露出性と自画自賛性は、そのままモアレ自身が行っているヌード・パーフォマンスと同じである。
こうした背景のもと、モアレは通行人に裸の自分と一緒に自撮りすることを要求する。通行人は嬉しそうに彼女の裸体に親密に寄り添う。「これが親密性の最高レベル」だとモアレは主張する。
その後、モアレはパリ、ロンドンなど世界中のさまざまな場所で《裸の自撮り》パフォーマンスを敢行している。リアルな身体感、アナログ的な自己露出という方法を通して、モアレは自己表現を行う。