ジェフ・クーンズ / Jeff Koons
バルーンのような彫刻作品
概要
生年月日 | 1955年1月21日 |
国籍 | アメリカ |
表現媒体 | ステンレス・スカルプチャー |
代表作 |
・《Puppy》(1922年) ・《Balloon Dog》 (1994–2000) |
公式サイト |
ジェフ・クーンズ(1955年1月21日生まれ)はアメリカの芸術家。
ポップカルチャーを主題とし、バルーン・アニマルのような鏡面処理を施したステンレス製の彫刻作品が特徴である。現代美術史においてはシミュレーショニズム運動の代表的な作家として位置づけられている。
また、クーンズはアメリカにおけるキッチュ性を最もよく表現した作家の1人であり、現役で活動している現代美術家の中で、オークション市場で最も高価格で取引される作家の1人である。2013年11月に、クーンズの『セレブレーション』シリーズの1つ《バルーン・ドッグ(オレンジ)》は、クリスティーズがニューヨークで開催した「戦後美術と現代美術セール」で、5,840万ドル(約60億円)で落札された。
この価格はそれまでのクーンズの最高落札価格である5,500万ドルを大幅に上回るものだった。《バルーン・ドッグ(オレンジ)》は1990年代後半にグリニッジのコレクターのピーター・ブラントの注文で制作されたものだった。
美術批評家のクーンズに対する批評は真っ二つに分かれる。美術史において最重要で批評するものもいれば、クーンズの作品はキッチュであり、下品であり、商業的作品であると批評するものもいる。
重要ポイント
- 一見すると風船のように見えるステンレス作品が特徴
- 「シミュレーショニズム」の代表的な作家
- アメリカの大衆性やキッチュ性をよく表現している
略歴
若齢期
ジェフ・クーンズはペンシルヴァニア州ヨークで、ヘンリー・クーンズとグロリア・クーンズの間に生まれた。父は家具屋でインテリアコーディネーター。母はお針子だった。
幼少のころ、クーンズはお小遣いを稼ぐために学校から帰ると包装紙とキャンディを戸別訪問して販売していた。10代ころのクーンズはサルバドール・ダリを尊敬しており、ニューヨークのセントレジスホテルにダリを直接訪ねたこともあった。
クーンズはシカゴ美術館附属美術大学やメリーランド美術大学で絵画を学ぶ。在学時にエド・パシュケに出会い大きな影響を受け、1970年代後半に彼のスタジオでアシスタントとして働いた。
大学卒業後、クーンズは1977年にニューヨークに移り、芸術家としてキャリアを積みつつ、MoMAで働く。この時代クーンズは、ダリの影響もあって髪を赤く染めて、鉛筆で口ひげを加えていたという。
1980年にクーンズはミューチュアル・ファンドや株を売買するライセンスを得て、ウォール街のコモデティ仲買人として最初の投資会社を設立。フロリダのサラソータで両親と夏を過ごした後、クーンズはニューヨークに戻り、コモデティ仲買人として仕事を始めた。
ジェフ・クーンズが芸術家としての名声が高まりはじめたのは1980年代なかばごろ。情報過多時代におけるアートの意味を探求する世代の一人として注目を集めた。
1985年「平衡」シリーズを発表。同年、ニューヨークのソナベント画廊がグループ展を企画、「ネオ・ジオメトリック・コンセプチュアル・アート」の名のもとに、美術史家ハル・フォスターが彼らの動向を理論づけ、その中心的存在とされたクーンズは一躍アート界の寵児となる。
その後、ニューヨークのブロードウェイとヒューストンストリートの交差点に位置するソーホー・ロフトに工場規模のスタジオを構え、30人以上のアシスタントを雇用し、作品制作を始めるようになる。それはアンディ・ウォホールの『ファクトリー』をモデルとしていた。
現在、クーンズのスタジオの広さは1500㎡にも及ぶ巨大なスペースで、90〜120人のレギュラー・アシスタントがいるという。クーンズは色に番号をで割り当てて指示を出す『カラーナンバー』システムを採用し、クーンズの片手のように各アシスタントに対してキャンバスや彫刻制作を指示を出すことができた。
作品と制作
ジェフ・クーンズは、メディア乱立時代におけるアートの意味を探求する芸術家世代の一人として、1980年なかばに注目を集めはじめた。
1980年代に認められ、その後ニューヨークのヒューストン・ストリートやブロードウェイの角にあるソーホー・ロフトに工場のようなスタジオを設立。
スタジオ内には30人以上のアシスタントが雇われ、アンディ・ウォーホルのファクトリーと同じようなモデルで、自身の作品のさまざまな側面で仕事を割り当てられた。クーンズの場合はナンバーカラーシステムを導入し、アシスタントがキャンバスや彫刻制作で担当する場所を番号で明確に割り当てた。
今日、クーンズは、チェルシーにある古いハドソン路線近郊に1,500平方メートルの工場を所有し、90〜120人のレギュラー・アシスタントを雇って制作をしている。
空気注入作品
1977年から1979年の間、クーンズはのちに初期作品として知られる4つの別々のアート作品を制作した。1978年からクーンズの膨張作品シリーズははじまる。鏡と一緒に膨らませた花やさまざまな大きさと色で構成されたうさぎの作品が制作された。
「シリーズ」と「コンセプチュアル・スカルプチュア」
1979年以来、クーンズは「シリーズ」という形式でいつも作品を制作し、またクーンズの初期作品の多くはコンセプチュアル・スカルプチュアとして制作されている。
たとえば『The Pre-New』シリーズは照明器具にさまざまな家庭用道具が取り付けられたシリーズで、これまで見たことにない奇妙な新しい構図を美術界にもたらした。
ほかには『The New』という掃除機を使ったシリーズでは、照明が付いた透明のボックス内にフーバー社のようなブランド企業の家電製品を設置したものがある。大量生産される新型掃除機を輝かしく知的にディスプレイした。
クーンズの最初の個展は1980年にニューヨークのニュー・ミュージアム・オブ・コンテンポラリー・アートで、窓際にこれらの作品が展示された。
また、クーンズは複数の掃除機の組み合わせをキャビネット内に配置し、並列させるシリーズ「Shelton Wet/Dry Doubledecker」を制作し、展示した。美術館でそれらの機械はまるでショールームに展示され、あたかも新しいコンセプトやマーケティングブランドを発表しているかのように、「The New」と表記された赤色蛍光灯とともに設置された。
そこには、次々と現れる「消費者=商品」のイノベーションが欲望を掻き立てる、資本主義のサイクルへの称賛と批評とともに「newness(新しさ)」の追求を目的としたモダニズムへの言及が重ね合わされていた。
ほかのクーンズの初期作品では3つのバスケットボールを蒸留水と少量の塩を用いて液体の中心に浮遊した状態にした『平衡』シリーズ(1983年)がある。これはノーベル賞受賞物理学者リチャード・P・ファインマンの助力を得て制作されたプロジェクトでもある。浮遊と重量感、富と美の象徴と価値をめぐる「平衡」を表現したという。
これらの作品を通じてクーンズは、「ネオ・ジオメトリック・コンセプチュアリズム」の旗手として美術史において位置づけられた。
ステンレス鋼彫像作品
1970年代にクーンズはエアートイのような彫刻をつくりはじめる。精巧に磨き上げたステンレス鋼を使い、まるで本物のエアーラビットのような彫刻《ラビット》を制作する。これが以後クーンズの代表作として知られるようになる。
オリジナルの《ラビット》は美術賞のイリアナ・ソナベントが所蔵しており、現在レプリカはシカゴ現代美術館が所蔵している。その後《ラビット》は繰り返し作られ、50フィート以上の高さの作品も制作された。
2009年10月13日、2007メイシーズ感謝祭パレードのときに使用された巨大なメタリック・モノクローム・カラー・ラビットが、CF トロント・イートン・センターの白夜祭のときに展示された。
ほかのシリーズ作品では、クーンズは土産屋で見かける陳腐な商品とバロック様式のイメージを組み合わせ、ロウブロウとハイブロウの境界線を曖昧にすることを楽しんでいる。
シミュレーショニズム・『贅沢と劣化』シリーズ
1986年にニューヨークのモニュメントギャラリーやロサンゼルスのダニエル・ワインバーグ・ギャラリーで開催されたクーンズの個展で、初めて『贅沢と劣化』シリーズが展示される。このときはアルコールをテーマにした作品群が展示された。
作品の中には、ステンレス製の旅行用コクテイル・キャビネット、バカラの水晶デカンター、そのほかアルコールに関するハンドメイドのさまざまなオブジェ作品、またゴードンズ・ジンのフレーム入り広告("I Could Go for Something Gordon's")やヘネシーのフレーム入り広告("Hennessy, The Civilized Way to Lay Down the Law")などアルコールメーカーの広告がキャンバスに艶めかしく描かれ、それらを美術の文脈として組み込んで新たな価値を提示した。それらは「ボードリヤールの消費社会における卑猥で乱雑な検閲的思想を支持する伝統的広告への批判」を意図するコンセプチャル・アートでもあった。
クーンズが他の作家から突出していたのは、市場の商品からスポーツや飲酒まで、私たちが消費対象に感じる魅力や欲望、愛玩と鑑賞、機能性の享受と嗜癖といった具体的な感情や関係のあり方に関心を持ち、これを作品化し、別の命を与えた点である。
ほかの作品には、ジム・ビームが制作した機関車の形状の特異なボトルを基盤にした《J.B. Turner Engine》(1986年)がある。クーンズはこの機関車の表面を輝くステンレス鋼素材に変更して制作した。
『キーペンケル』シリーズ
同じステンレス製素材を用いた作品に『キーペンケル』シリーズがある。1950年代に再建されたドイツの旅商人の彫像であるが、1987年に開催された「ミュンスター彫刻プロジェクト」展覧会でジェフ・クーンズのステンレスのレプリカ作品と置き換えられた。
ミュンスターの中央広場に立ち、彫像は過去のノスタルジックなシンボルとして特定の文化的な力を温存した。クーンズはこの彫像を3体製作しており、1体はワシントンD.C.ハーシュホーン博物館と彫刻の庭が所蔵している。
『陳腐』シリーズ
クーンズは『陳腐』シリーズの製作をはじめる。このプロジェクトのためにクイーンズはドイツやイタリアで陶芸、磁器、木製などの伝統工芸のワークショップに参加している。
『陳腐』シリーズの代表作は、ペットのチンパンジーであるバブルスを抱きしめて座っているマイケル・ジャクソンの3つの金箔メッキ製磁器像《マイケル・ジャクソン・アンド・バブルス》である。
3年後、サザビーズ・ニューヨークでこれらの1体が560万ドルで落札された。残りの2体はロサンゼルスにあるサンフランシスコ近代美術館とザ・ブロード美術館に所蔵されている。
『メイド・イン・ヘブン』シリーズ
1989年、ホイットニー・ミュージアムとキュレーターのマービン・ヘファーマンは、クーンズに「イメージワールド・アートとメディアカルチャー」の展覧会で広告用看板をメディアとして使った作品制作を依頼する。
そこでクーンズはビルボード作品として『メイド・イン・ヘブン』シリーズというタイトルの架空の映画の広告看板作品を制作する。クーンズは自分自身と当時妻でポルノ女優だったイローナ・ストラー(チッチョリーナ)を看板用のモデルにした。
それが1990年から91年に制作された《ホイットニー、メイド・イン・ヘブン』シリーズ基礎となる。このシリーズには《汚い射精》や《イローナの *******》といった題名の作品が含まれている。
キャンバス、ガラス細工、彫刻などに印刷された写真作品は、クーンズとストラーの2人の性的生活をかなり露骨に描いた作品だったので、社会な論争を巻きおこした。
美術的な文脈で解説すると本作品はジャン・ロレンツォ・ベルニーニやジャン・オノレ・フラゴナール、フランソワ・ブーシェといったバロックやロココ時代の芸術家の作品を基盤としており、またギュスターブ・クールベやエドゥアール・マネといった初期近代美術家たちがブレイクスルーするきっかけとなったスキャンダラスなヌード作品の流れを組んで制作されたものである。
本シリーズの初期作品は、1990年のヴェネツィア・ビエンナーレで初めて展示された。クーンズの報告によれば、ストーラーが息子のルートビッヒとともにイタリアへ立ち寄った際にはかなり部分が破壊されていたという。ホイットニー・ミュージアムは2014年の回顧展でキャンバスにプリントアウトされた写真作品を数点展示した。
『パピー』シリーズ
クーンズは1992年にドイツで開催された『ドクメンタ9』で、44人のアメリカ人芸術家の1人として選ばれず参加できなかったが、代わりに3人の画商からの依頼でドイツのバート・アーロルゼンにあるアーロルゼン城に展示する作品を制作することになった。
そして生まれたのが高さ43フィート(13m)のウェスト・ハイランド・ホワイトテリア犬の彫刻《パピー》シリーズである。
透明色で塗装されたクロムステンレス鋼製で、彫刻周囲にはマリー・ゴールド、ベゴニア、インパチェンス、ロベリアなどのさまざまな花が装飾された。自浄式の花は作品が展示されている期間のみ成長するしかけになっていた。
バロック様式のアーロルゼン城の中庭に設置されたパピーは鑑賞者から大きな注目を集めることになった。《メイド・イン・ヘブン》シリーズ後に大成功した作品で、クーンズは「人々に暖かさや愛を伝えるイメージ」を作ることを意図したものだという。
1995年、シドニー現代美術館やカルドア・公共芸術計画やシドニー芸術祭の共同ベンチャー事業で彫刻は解体され、内部に灌漑システム電機子を備え、また新しくより長持ちするようステンレス鋼の骨組みとして再構築され、シドニー・ハーバーにある現代美術館で再構築された。《アローゼン・パピー》には20,000本の花が彫刻を覆い、シドニー版では60,000本の花が彫刻を覆っている。
この彫刻作品は1997年にソロモン・R・グッゲンハイム財団が購入し、現在はビルバオ・グッゲンハイム美術館の庭に設置されている。博物館に所蔵される前に、テロ組織のバスク祖国と自由(ETA)は彫刻近くに爆発物を備え付けた植木鉢を設置しようとした事件があったが、バスク警察官ホセ・マリア・アギレが発見し失敗。しかし、その後、その警察官はETAメンバーに射殺された。
2000年の夏に、《パピー》はニューヨークのロックフェラーセンターでの展覧会で展示された。
『セレブレーション』シリーズ
クーンズの代表作となる『セレブレーション』シリーズは1994年から始まる。《バルーン・ドッグ》や《ヴァレンタイン・ハート》、《ダイヤモンド》、《エッグ》などの巨大な彫刻作品や絵画作品シリーズによる展示が考案される。20もの異なる彫刻シリーズの各々には、さらに5つの異なるカラーバージョンが存在する。
《破壊された卵》(ブルー)の彫刻作品は、ロイヤル・アカデミー・サマー・エキシビジョンで最も優れた作品として2008年のチャールズ・ウォラストン賞を受賞。また、1994年から2005年の間に制作された《ダイヤモンド》彫刻作品は、7フィートも横幅がある光輝くステンレス素材で作られ、注目を集めた。
それ以降の作品《チューリップ》(1995−2004年)は、華やかな大きさ(2m(6.6フィート)以上、幅5m(16フィート)以上)に膨らんだ多色の気球の花束から構成されたもので人気を博し、これは5つのバージョンが存在する。
最後に、1995年に代表作となる《バルーン・フラワー》の制作をはじめた。クーンズは『セレブレーション』シリーズを1996年にニューヨークのソロモン・R・グッゲンハイム美術館での展示で終わらせるよう制作していたが、制作の遅れとコストが大幅にオーバーしてしまったため、終了は延期となった。
『セレブレーション』シリーズ制作の資金がなくなったとき、2人の重要スタッフを残してスタッフは全員解雇された。残った1人は1990年からクーンズと協働してきたスタジオマネージャーのゲーリー・マククロウで、もう1人は1995年にニューヨークに来た南アフリカ出身の芸術家ジャスティン・ウィーラー・コーンズだった。
資金調達のためクーンズは画商のジェフリー・ダイチ、アンソニー・ドフェイ、マックス・へッツラーらとともに自身の主要アート・コレクターであるダキス・ヨアヌーやピーター・ブラント、エリ・ブロードらに呼びかけ、フランクフルトを拠点とする会社アーノルドでの『セレブレーション』シリーズ制作のための投資を呼びかけた。
ディーラーたちは作品が完成する前にコレクターたちに作品の一部を販売する計画で資金を提供した。またこの頃にニューヨークの巨大画商のラリー・ガゴシアンと未完成になっている『セレブレーション』作品の売買権の独占的契約と、その代わり作品完成のための資金提供を得る契約を結んだ。
『イージーファン』シリーズ
1999年、ドイツ・グッゲンハイム・ベルリンからの依頼でクーンズは『イージーファン』という新しいシリーズの制作に着手。最初は絵画と壁掛け彫刻から成る7つの絵画を制作した。2001年にクーンズは『イージーファン・エターナル』シリーズの絵画をはじめる。クーンズ監督のもとアシスタントの手で描かれたビキニ、食べ物、風景を組み合わせたコラージュ手法を使った絵画作品だった。
『ポパイ』『ハルク・エルビス』シリーズ
2002年にクーンズはカートゥーンキャラポパイとオリーブから成る『ポパイ』シリーズの絵画と彫刻を制作をはじめる。
当初は大量販売されているポリ塩化ビニル製のポパイ人形をステンレス製で再生した作品だったが、梯子、ゴミ箱、フェンスや風船動物オブジェなどを組み合わせたシュルレアリスティックなインスタレーション的な作品へと展開していった。
これらの彫刻を制作する際、まずおもちゃの正しい形状を測定し、コーティングレイヤーを設定する。次にハードコピーが作成され、データが鋳造工場に送られアルミニウムで実際に鋳造される。できあがった鋳造がスタジオに戻ってくると、空気で膨らんだような外観の光沢を付け加えながら塗装する。
シリーズの中でも特に『アクロバット』は、シカゴイマジス派の芸術家H・C・ウェスターマンから影響を得ているという。
『ハルク・エルビス』シリーズは2004年から2014年にかけて制作されたシリーズである。人気コミックのヒーロー『ハルク』のインフレータブル人形とエルビス・プレスリーの構図を組み合わせるほか、絵画、ブロンズ彫刻などを組み合わせている。また、アンディ・ウォーホルの『トリプル・エルビス』のオマージュ作品『トリプル・ハルク・エルビス』という作品を制作している。
クーンズによればハルクの強く英雄的なイメージをともなう『ハルク・エルビス』シリーズは「テストステロンの高い身体性」を表現したもので、またコミック・ヒーローのハルクとアジアの守護神の間の並行関係を描いた「東西の架け橋」シリーズというコンセプトとも含まれているという。
三次元作品の《ハルク(フレンズ)》や《ハルク(ベル)》(2004年-2012年)は『インクレディブル・ハルク』に焦点を当てたもので、素材としてブロンズや木が使われ、見た目と異なり実際の重さは約1トンもあるという。
彫刻作品《ハルク(オルガン)》(2004-2014年)は、造形のパワフル性や筋肉表現とマッチするサウンドを鳴らすために、完全に機能的な楽器が背中に付属している。
このシリーズの絵画はPhotoshopのレイヤーを使ったコラージュ作品でもある。抽象的風景をはじめ、アメリカを象徴するイメージ(列車、馬、馬車)やハルクやインフレータブル・プラスチック・モンキーのようなキャラクターなどで構成されている。
風景画はしばしば露骨な性的イメージが描かれている。たとえば、《Landscape (Tree) I》には風景画を背景にドローイングでシンプルな性器が描かれている。
『ハルク・エルビス』シリーズは、2007年にロンドンのガゴシアン・ギャラリーや2014年の香港のガゴシアン・ギャラリー、2015年のオーストリアのウィーンのオーストリア・ギャラリーなど、世界中のギャラリーで展示されている。
■参考文献
・https://en.wikipedia.org/wiki/Jeff_Koons
・『現代アーティスト事典』美術出版社
■画像引用
※1〜3、7:http://jeffkoons.com
※4:https://www.moma.org/collection/works/81090
※5:https://en.wikipedia.org/wiki/Jeff_Koons