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【作品解説】アンリ・マティス「ニースのインテリア」

ニースのインテリア / Interior at Nice

マティスの古典回帰時代の作品


概要


作者 アンリ・マティス
制作年 1919-1920年
サイズ 131.5 × 90.7 cm
メディウム キャンバスに油彩
所蔵先 シカゴ美術館

『ニースのインテリア』は、1919年から1920年にかけてアンリ・マティスが制作した油彩作品である。1917年以降、マティスは地中海沿岸のニースで冬を過ごすことが多くなり、ロココ調の建物である「オテル・メディテラネ」によく滞在していた。

 

「ニースのインテリア」は、このホテルを主題に制作された一連のシリーズで、また最も意欲的な作品の一つである。いずれの作品もこの頃にマティスは古典回帰していた写実的なスタイルで描かれているのが特徴的である。

 

ピンクのタイル張りの床や黄色の唐草模様の壁紙は、スカート付きの化粧台、楕円形の鏡、シャッター付きのフランス窓、バルコニーなど、これらのシリーズの多くに登場する。バルコニーはアーティストのお気に入りのテーマの一つで、内部と外部の空間を模様と光の変化で構成された連続体に結びつけることができる。

 

また、マティスはしばしば若い女性を絵のどこかに登場させている。この作品では、当時彼が愛用していたモデル、アントワネット・アルヌーが重要な役割を担っている。

 

彼女は壁に描かれた絵の被写体であるだけでなく、バルコニーで海に背を向ける様子が高い視点と急降下した広角の曲線遠近法で表現された構図となっている。バルコニーで海を背にする彼女は、きらめくカーテンに縁取られ、見る者を直視する。


■参考文献

https://www.artic.edu/artworks/2816/interior-at-nice、2023年4月4日アクセス