【作品解説】バルテュス「ギターのレッスン」

ギターのレッスン/ LA LEÇON DE GUITARE

MoMAから追い出された問題作品


バルテュス《ギターのレッスン》1934年
バルテュス《ギターのレッスン》1934年

概要


作者 バルテュス
制作年 1934年
メディア 油彩
サイズ 161 cm × 138.5 cm
所蔵者 個人蔵

《ギターのレッスン》は、1934年にバルテュスによって制作された油彩作品。161cm×138.5cm。個人蔵。一度はニューヨーク近代美術館に寄贈されたが、庶民から大きな反発が起こり、4年後に美術館から切り離すことになる。その後、バルテュスは40年以上、本作品の展示や複製を禁止している。現在はアメリカ人のプライベートコレクションとなっている。

 

本作品は、女教師が少女の髪をひっぱり折檻しているシーンを描いている。少女のスカートがまくりあげられ、下半身が露出し、少女は抵抗するかのように女教師のドレスを引っ張り、女教師の胸をはだけさせている。手前には小さなギターが投げ出されるように置かれている。

 

バルテュスの解説によると、この女教師は少女の身体をギターの代わりに弾いているという。ボードレールの『悪の華』の中の「レスボス」の一節を引用して説明している。「なぜならレスボスが、地上の万人の中から私を選んだのだ、/島に花と咲く処女たちの秘密を歌うようにと」。

意図的に描いたエロティック作品


本作品は、1934年にパリのピエール画廊で開催されたバルテュスの最初の個展で出品された作品の1つである。内容に問題があったため画廊の奥の控室の中にカーテンが掛けられ展示され、一部の客だけが覗き見ることが許された。

 

当時経済的に困窮していたバルテュスがスキャンダルを引き起こすために、意図的にエロティックなシーン描いたと認めている。「あの頃パリで有名になる唯一の方法はスキャンダルでした」とバルテュスは語っている。

 

このような意図もあって、この個展は幾人かの批評家を挑発することには成功したが、商売としては失敗だった。