小さな植物と抗議する少女
気候変動に対する取り組みを訴える少女
概要
作者 | バンクシー |
制作年 | 2019年4月末 |
場所 | ロンドン、マーブル・アート |
《小さな植物と抗議する少女》(仮)は2019年4月末にロンドンのマーブル・アート付近の壁に描かれた作品。描かれた場所は環境保護団体「Extinction Rebellion(絶滅への反逆)」が4月15日から2週間におよぶ抗議を行っていた場所である。
小さな植物と「Extinction Rebellion」のロゴが描かれた小さなプラカードを手に持って座っている少女が描かれており、絵の隣には「From this moment despair ends and tactics begin(この瞬間から絶望は終わり作戦は始まる)」という文字が書かれている。
現在、バンクシーはインスタグラムやウェブサイトを通じてこの作品について特に何も語っていないが、アートディーラーでバンクシー専門の鑑定人のジョン・ブランドラーは本物だと確信しているという。ブランドラーは『ガーディアン』紙に対して
「この作品が本物であると思われるには2つの理由がある。1つはバンクシーはもともと環境保護支持者であり、2018年12月にポート・タルボットに描かれた作品の延長線上にある作品である。そして、隅に書くサインは重要ではなく、バンクシーにおけるサインは作品である。そしてこれはバンクシーの作品なのである。素晴らしい声明であり美しい作品だ」と話している。
バンクシーが2018年12月にポート・タルボットに描いた作品とは、雪のように見える焼却炉から飛び出す粉塵で遊ぶ少年の絵のこと。バンクシーは、現在マーブル・アートに描かれた作品が自身のものであるかどうか表明しておらず、マスコミの問い合わせにも答えていないが、「Extinction Rebellion(絶滅への反逆)」がTwitter上でバンクシーが描いたと話している。
New #Banksy appeared at Marble Arch site of #ExtinctionRebellion last night: "From this moment despair ends and tactics begin. Despair is the infantile disorder of the revolutionaries of everyday life." Quote from Raoul Vaneigem's The Revolution of Everyday Life, 1967 pic.twitter.com/WCbX4kg1e6
— Extinction Rebellion 🐝⌛️🦋 (@ExtinctionR) 2019年4月26日
環境保護団体のExtinction Rebellionはイギリス政府に対して気候変動の深刻さに対してより誠実であり透明性のあるよう求め、2025年までにイギリスの二酸化炭素排出量をゼロにする約束を求めている。
保護ケースが取り付けられる
2019年9月、4月にロンドンで行われた2週間にわたる環境保護運動の際にマーブル・アーチの壁に現れた壁画に保護ケースが取り付けられた。作者はバンクシーと推測されているが、バンクシーはサインも声明も出してないので確証はない。
しかし、ウェストミンスター市議会によれば、芸術の専門家が本物のバンクシーであると助言し「大きな刺激を与える」ため保護したいと相談したという。
壁画には「この瞬間から絶望が終わり、戦術が始まる」という言葉の隣に、絶滅に対する反乱のロゴを持った少女が描かれている。
市議会は9月19日に芸術保護論者と相談したあとに、恒久的なポリカーボネートケースを作品に取り付けた。
スポーツ、文化、コミュニティの権威者であるイアン・ボットは次のように話している。
「私たちの優先事項は、常にこのストリートアートを訪問者に楽しんでいただけるようにすることです。ウェストミンスターを活気のある場所にしたいと思っており、私たちの街には非常に多くの有名な彫像、ランドマーク、アートがあることに幸運に思っています。このバンクシーの作品ももちろん歓迎します」。
なお、今年の9月頭にはバンクシーの絵画がパリの壁から盗まれており、ボットは次のように付け加えた。「バンクシーの作品は非常に人を引きつけ注目をあつめますが、残念ながらその注目のため良くないこともあり、将来に対して作品を保護し保存するための措置を講じる必要があった」。