デジタル・アート / Digital art
デジタル技術が創造のプロセスに使われているアート
概要
デジタル・アートは、広義的にはデジタル技術を創作やプレゼンテーションのプロセスの一部として導入している芸術作品、または行為のこと。
美術史において1960年代以降、デジタル技術がもちいられたアートは、コンピュータ・アートやマルチメディア・アートなど、さまざまな名称が使われてきたが、デジタル・アートとはそうしたものの総称である。
非代替トークン技術を使用したNFTアートもデジタル・アートという大きな傘の下に置かれている。なお、デジタル・アートの上位層にあたるのがニューメディア・アートである。
デジタル・アートには、フラクタルやアルゴリズミック・アートなど純粋にコンピュータで生成されたものと、アナログの素材を取り込んだあと、マウスやグラフィックタブレットを使ってベクターグラフィックソフトウェアで作成した画像などがある。
美術史においてデジタル・アートは、通常はコンピュータプロセス(コンピュータプログラム、マイクロコントローラ、入力を解釈して出力を作成できるあらゆる電子システムなど)によって非自明的な修正や加工( non-trivially modified)が加えられた芸術に対して使われることが多い。
デジタル・アートの一例としては、次のようなものがある。アンディ・ウォーホルは、1985年7月にニューヨークのリンカーンセンターで行われたコンピュータの一般公開で、コモドール・アミガを使ったデジタル・アートを制作した。
デビー・ハリーの画像をビデオカメラでモノクロ撮影し、プロペイントというグラフィックソフトでデジタル化した。ウォーホルはこの画像にフラッドフィル(塗りつぶし)を使って色をつけた。
一方、デジタル化されたテキストデータやイメージ、生のオーディオやビデオの記録は、通常、それ自体が美術史においてデジタル・アートとはみなされない。しかし、コンピュータ・アートやインフォメーション・アートの一部となり得えることはある。
また、コンピュータ上のソフトウェアで制作したあと、キャンバスに描いたようにデジタル出力した作品は、「デジタル・ペインティング」と呼ぶ(ジークレー版画など)が、デジタル・アートとはみなされない。
現在はNFT技術が導入され、なんらかの美術史の文脈に沿えば、ビープルやパクのようにデジタル・アートとみなされることもあるが、NFT技術が導入されただけではデジタル・アートとみなされない。
デジタルアート出現当初は抵抗があったものの、デジタル技術の影響は、絵画、文学、ドローイング、彫刻、音楽/音響芸術などの活動を変容させ、大きな影響を与えている。インターネットアート、デジタルインスタレーションアート、バーチャルリアリティなどの新しい形態が芸術活動として認知されるようになっている。
より一般的には、「デジタル・アーティスト」という言葉は、さまざまな制作過程においておもにデジタル技術を活用するクリエイター一般を指す言葉として使われている。おもに、マスメディアや商業芸術で使われることばである。
一方、「デジタル・アート」という言葉がある。こちらは大量生産の手法やデジタル・メディアを用いた現代美術作品あることが多く、現代美術家が制作したデジタル作品のことを指すことが多い。
デジタル技術がアートに与える影響の是非について様々な意見がある中で、デジタル・アートのコミュニティでは、デジタル技術が「創造領域の広大な拡大」、すなわち、プロとプロでないアーティストが同様に利用できる創造の機会を大きく広げたという点で強い合意があるように思われる。
■参考文献
・https://en.wikipedia.org/wiki/Digital_art、2021年12月20日アクセス