マネー・アートの中心になる香港
クリスティーズが通年のオークション販売計画
アート・オークションの中心が香港に
アート・マーケットが東アジアに軸足を移しつつある中、大手オークションハウスのクリスティーズが、2024年に最新設備を備えた広大な香港本部をザハハディッドが設計した高級タワー「ザ・ヘンダーソン」へ移転することを発表した。
このビルは香港・中環のマレーロードにある印象的な新しい都市のランドマークである。
本社移転は、2021年上半期にアジアの支出が10億ドルを超え、全売上高の39%を記録したことが最大の理由である。
パンデミックのずっと前からアジアへのアートマーケットの移行は明らかだったが、過去1年間でその傾向は加速しており、アジアのアート購入者は2020年前半に比べて3倍に増加している。
オークションハウスの新本社は、4階建てで50,000平方フィートを超え、常設のセールルームとギャラリーを備えており、セントジェームズのキングストリートにあるクリスティーズ・ロンドン本社と同等の規模である。
現在、オークションは5月と11月に香港コンベンション&エキシビションセンターで行われ、ミッドシーズンのセールは、アレクサンドラハウスのジェームズ・クリスティ・ルームで行われているが、クリスティーズ・アジア太平洋の社長であるフランシス・ベリンは、今回の移転により、同社のオークション・カレンダーを「大幅に刷新」することになると述べている。
「主に年2回のオークションシーズンを開催するのではなく、年間を通してプログラムを組むようにします」と語っている。
アジアの富裕層や若者はアジアではなく「西洋のカテゴリ」を求めている
クリスティーズの新スペースへの投資額は非公開だが、ベリンによれば、これは香港が「アジアにおける傑出したアートと文化の中心地」であることへの自信の表れであり、この地域のアート・マーケットの「強い回復力」を証明するものでもあるという。
北京が香港に対する政治的支配を強めていることについて、ベリンは、香港は「アジアの世界都市としての独自の地位を確立し続けるだろう」と述べている。
また「アジアのアートマーケットの中心としての香港の活気と深さを築くには、何十年もかかりました。今後も機敏さと競争力を保つことができると確信しています」と述べている。
アジアの富裕層が求めているものは「西洋のカテゴリ」である印象派、近代、戦後、現代の美術品や、宝石、時計、ハンドバッグなどの高級品に集中している。
アジアのコレクターは、20世紀および21世紀の美術品の世界的な販売額の34%を占めており、アジア太平洋地域のコレクターは、世界の高級品オークションの約50%を占めている。
ベリンによれば、アジアのコレクターは比較的若く、クリスティーズのミレニアル世代のバイヤーの47%がアジアを拠点としている。
2021年上半期の同社の世界の販売額に39%貢献しているが、世界のバイヤーに占める割合は25%にとどまっており、価値の高い顧客であることを示唆している。
NFT(ノンファンジブル・トークン)も2021年上半期に注目を集めた。3月には、Beepleの6900万ドルのNFT作品が、シンガポールを拠点とするコレクター、Vignesh Sundaresan(通称MetaKovan)にわたった。
アジアの美術品は依然としてアジアのコレクターに人気があり、過去1年間でアジアのコレクターがこのカテゴリー全体の金額の75%を占めた。一方、アジアのバイヤーは、世界のオールドマスターの売上額の14%を占めた。
■参考文献
・https://www.christies.com/features/Christies-New-Asia-Pacific-Headquarters-at-The-Henderson-11781-1.aspx?sc_lang=en&lid=1、2021年7月28日アクセス