【作品解説】アンディ・ウォーホル「チェルシー・ガールズ」

チェルシー・ガールズ / Chelsea Girls

スーパースターの生活を並行表示する実験映画


概要


「チェルシー・ガール」は、1966年にアンディ・ウォーホルとポール・モリッシーによって監督された実験地下映画。この映画は長い前衛芸術映画制作期間があった後に、ウォーホルが初めて商業的に成功した作品である。

 

チェルシー・ホテルの客室を中心にニューヨークのさまざまな場所で生活する女性のライフスタイルを撮影したセミ・ドキュメンタリー映画である。ドラッグ、乱交、髪の手入れをするニコ、母親と喧嘩する息子などのシーンが映し出される。

 

画面は2分割されたダブルスクリーン方式が採用されているが、これは、さまざまな女性の生活を並行して覗き見するように楽しんで欲しいと意図がある。各シーンにそれぞれサウンドトラックが入り、モノクロ映像とカラーが同時に表示される。オリジナルカットは3時間以上ある。

 

タイトルの「チェルシー・ガールズ」は撮影場所のホテル名から由来しており、ニコの1967年のデビューアルバム「チェルシー・ガール」の由来でもある。

 

身体が部屋の窓になり、股間がドアになった裸の少女のポスターを制作したのは、グラフィック・アーティストのアラン・オルドリッジ。ポスターの少女はクレア・シェーンストーンという女性で、撮影当時の彼女16歳だったという。彼女はのちにフランシス・ベーコンに影響を受けた作風の画家として活躍している。創造性とエロティシズム性の強い映画のエッセンスを凝縮したこの見事は、ウォーホルも大変満足しており、映画内容とほぼ同等の評価をポスターに与えている