【作品解説】バンクシー「爆弾愛」

爆弾愛 / Bomb Hugger

戦争と愛という二項対立を探求


※1:バンクシー《爆弾愛》
※1:バンクシー《爆弾愛》

概要


作者 バンクシー
制作年 2003年
大きさ 50cm × 70cm
メディア プリント

『爆弾愛』は2003年にバンクシーによって制作されたプリント作品。戦争と愛という二項対立を探求したバンクシー初期の象徴的な作品。ポニーテールの無垢な少女が爆弾(軍用機用の爆弾)をクマのぬいぐるみのように抱いている絵である。

 

もともと壁に描かれたグラフィティ作品で2003年にイースト・ロンドンの壁に描かれた。同年に限定150枚の署名入りプリント版と600枚の未署名版が作られた。サイズは50cm × 70 cm。

 

バンクシーは何年もかけて壁、キャンバス、カードボードなどさまざま媒体にステンシル形式で異なるフォーマットの『爆弾愛』作品を描いている。

 

本作品の背景は人物を強調するために傾向のピンク色が利用されている。これはバンクシーの友人のアーティストであるStikがよく利用する描画方法である。

 

この作品は現代社会において、おもちゃのように爆弾や戦争を作り出す政府の強迫観念を無垢な少女の姿に置き換えて強調している。少女と政府、両者ともそこに子どもっぽさが垣間見える。

 

バンクシーは民主主義や平和を推進するための道筋として、画面に戦争を映し出し人々に無意識に強迫観念を押し付けようろするマスメディアや政治家たちに疑問を呈している。また、バンクシーは愛の力がまだ有利であり、最終的に愛は憎悪に打ち勝つだろうということもこの絵で示唆している。

※2:イースト・ロンドンの壁に描かれた『爆弾愛』
※2:イースト・ロンドンの壁に描かれた『爆弾愛』