沈黙=死 プロジェクト / Silence=Death Project
エイズの真実を告発したプロテスト・アート
作者 |
アヴラム・フィンケルシュタイン ブライアン・ハワード オリバー・ジョンストン チャールズ・クロフ クリス・リオーネ ホルヘ・ソカラス |
制作年 | 1987年 |
ムーブメント | プロテスト・アート、エイズ告発運動 |
場所 | ニューヨーク |
『沈黙=死』は1987年に制作されたプロテスト・アート。アヴラム・フィンケルシュタイン、ブライアン・ハワード、オリバー・ジョンストン、チャールズ・クロフ、クリス・リオーネ、ホルヘ・ソカラスの6人による共同作品である。1980年初頭にはメディアが無視していたエイズの危機を告発した。
形成
アメリカでエイズが最初に発見されたのは1981年。しかし、エイズ流行初期において、政府や主流メディアはこの危機を無視していた。
レーガン大統領が1985年にようやく「エイズ」という言葉を口にしたときには、すでに12,000人のアメリカ人が亡くなっていた。
同年、ニューヨークでは、アブラム・フィンケルシュタイン、ブライアン・ハワード、オリバー・ジョンストン、チャールズ・クレロフ、クリス・リオーネ、ホルヘ・ソカラスの6人の男性が、公の場では語られないエイズ関連の被害を個人間で共有するための会合を始めた。エイズは麻薬とホモセクシュアルにのめりこんだ芸術家の世界で蔓延していた。
エイズ被害に対する意識を広めるために何か具体的なものを作りたいと思い立った彼らは、すぐにポスターを作ることにた。それは、(あるとしても)ほとんど文字がないものであるべきだと彼らは決めた。
「マニフェストは役に立たない」と フィンケルシュタインと話している。
「文章はほとんど役に立たない。平易な言葉で作られたサウンドバイト(ニュースなどの放送用に抜粋された言葉や映像)、キャッチフレーズが必要である。ポスターはそのメディウムとして最も適している。ポスターは完全にアメリカ人と相性がよく、力を持っている。ポスターの前で立ち止まったり、振り返ったりしたことがあるなら、その力が働いていたということである」。
そして、「沈黙=死」というスローガンの上に、黒地にホットピンクの三角形(ナチスがゲイ男性のレッテルを貼るために使用していたシンボルの逆バージョン)が描かれたものが、1987年に完成した。「沈黙=死」。それは、エイズの脅威という現実に対して声を上げなければ文明の門は永久に閉ざされるということである。
6人の友人たちは、イーストビレッジ、ウエストビレッジ、タイムズスクエア、チェルシー、アッパーウエストサイドなど、クィアな人々とメディアの両方に届けるため、ウィートペースト(水と少し多めの小麦粉を使って安価に作れるポスター貼りに適した接着剤)のポスターをニューヨーク中に貼り付けた。ニューヨーク中はH.I.V./エイズと関連の活動の最も永続的な象徴となった。
同年4月15日、新たに結成された活動家グループ「AIDS Coalition to Unleash Power (ACT UP)」のメンバーは、このポスターのコピーを持って市の郵便局を襲撃し、彼らの大義に対するこの看板の継続的な中心性を確固たるものにした。
ACT UPの提唱により、ピンクの三角形は今でもエイズ活動の代名詞となっている。2017年、このイメージはレスリー・ローマン・ミュージアム・オブ・ゲイ&レズビアン・アートの窓に再設置された。
■参考文献
・https://www.nytimes.com/2020/10/15/t-magazine/most-influential-protest-art.html、2020年11月11日アクセス
・https://en.wikipedia.org/wiki/Silence%3DDeath_Project、2020年11月11日アクセス