【美術雑誌】デア・シュトゥルム「第一次世界大戦以前の前衛芸術情報」

デア・シュトゥルム/ DER STURM

第一次世界大戦以前の前衛芸術情報を配信


『デア・シュトゥルム』1917年10月号
『デア・シュトゥルム』1917年10月号

概要


『デア・シュトゥルム』は、1910年から1932年までドイツで発行されていた芸術と文学の情報誌。表現主義、キュビスム、ダダイスム、シュルレアリスムなど当時の世界の前衛芸術運動の動向を幅広くカバーしていた。

 

『デア・シュトゥルム』は1910年にベルリンでドイツの表現主義の作家だったヘルヴァルト・ヴァルデンが創刊。1914年に月刊誌に変更するまでは週刊誌だった。1923年に季刊誌に変更。制作のひな形にしていたのは、1908年から1916年まで発行されていたイタリアの文学雑誌『ボイス』。

 

この雑誌では、ペーター・アルテンベルク、マックス・ブロート、リヒャルト・デーメル、アルフレート・デーブリーン、アナトール・フランス、クヌート・ハムスン、カール・クラウス、セルマ・ラーゲルレーヴ、アドルフ・ロース、ハインリヒ・マン、パウル・シェーアバルトなど当時のヨーロッパの著名な詩人、小説家の多くが寄稿。表現主義の小説、芸術家のポートフォリオ(オスカー・ココシュカなど)、芸術家のエッセイ、ヘルヴァルト・ヴァルデン芸術の理論文書などで紙面は構成されていた。

 

フランツ・マルク、ワシリー・カンディンスキー、オスカー・ココシュカ、アウガスト・マッケなど、当時のドイツの前衛芸術家を中心にキュビスムや抽象表現の芸術家のポストカードが付録に付いていたのも大きな特徴だった。

 

第一次世界大戦が勃発する以前まで『デア・シュトゥルム』は、フランスとドイツの表現主義の芸術家の交流においてかなり重要な役割をになった。この関係は戦争によって引き起こされた敵対関係にも関わらず、戦後にも引き続き途切れることなく更新された。

 

また、ベルリンの前衛美術シーンに焦点を置いたデア・シュトゥルム画廊というギャラリーを開く、前衛芸術家たちの作品の展示を開催している。フォーヴィスム、青騎士、未来主義、キュビズム、オルフィスムなど第一次世界大戦の前衛芸術集団の大半の展示をリアルタイムで開催した。

 

作家では、エドヴァルド・ムンク、ジョルジュ・ブラック、パブロ・ピカソ、ジャン・メッツァンジェ、アルベール・グレーズ、ロベール・ドローネー、パウル・クレー、ワシリー・カンディンスキーなどの個展を開催している。

■参考文献

Der Sturm - Wikipedia


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