篠原愛画集「Sanctuary」

本の概要
篠原愛は日本の画家。1984年鹿児島生まれ。多摩美術大学油彩学科卒業。以後、隔年ごとに個展を開催。国内だけでなくニューヨークなど海外でも個展を開催している。
花や金魚などの可愛らしいものに加え、血や臓物など本能を刺激するモチーフに囲まれた女の子たちを描き、少女の内面世界が絵の中で混ざり合った美しい異形を生みだしている。美術評論家・山下裕二氏の推薦で、上野の森美術館で開催される「VOCA展 2017 現代美術の展望─新しい平面の作家たち」にも今春、新作を出品。
また最近は、映画監督園子温の最新作「アンチポルノ」のポスターに篠原の絵画が使われていることで注目集めている。
篠原愛が、これまで描いた油彩、ドローイング、イラストなど、07年~17年までの作品を網羅的に収録した初の画集。
▼内容
◇油彩、ドローイング、イラストなど、これまで描いた07年~17年までの作品を網羅的に収録。
◇2017年上野の森美術館「VOCA展」出品の新作収録。
◇美術評論家・山下裕二の巻末解説。




感想
初期作品こそイラストレーションと今どきの少女的な感覚を油彩化したようなかんじだったが、2013年ごろからゴッホのひまわりのオマージュ、クリムトやアール・ヌーヴォー的な装飾要素、田中一村の奄美大島の自然表現、日本画的な構図、シュルレアリスティックなモチーフの組み合わせなど、美術史の文脈を踏まえながら、現代的な表層をうまく使って描いているように思える。
個人的にはクリムトのように、写実的要素を踏まえながら、輪郭線や線をはっきりと出すような平面的な要素がもっとあればよいと思った。装飾性もまだ実験的みたいなところがあるので、もっと大胆にクリムトのように絵画全体を金粉などで豪奢に覆ってみてるのもよいかも。
大型本: 128ページ
出版社: 復刊ドットコム (2017/3/14)
言語: 日本語
ISBN-10: 4835454766
ISBN-13: 978-4835454764
発売日: 2017/3/14