【美術解説】タマグラアニメ博2013「てんとう虫のおとむらい」「ロストユートピア」

タマグラアニメ博2013


タマグラアニメ博を見に渋谷アップリンクにいってきました。7年ぶりの開催だとか。僕がいったのは2回目と3回目で、近藤聡乃さんや藤田純平さんがいたときの黄金期。

 

で、久しぶりのタマグラの感想ですが「Classic A 2000~2004」と「New Generation A 2008~2011」、世代で作品の傾向がガラッと変わっていることに気づきました。


前世代は、作家の個性や内面的な作品が多く、作画の質も高いのですが、微妙にタルさがあります。逆に後世代は音楽性が強くアニメーションのテンポは良いのですが、前世代に比べて個性が低く、まず原作(音楽)があり、そこにアニメーションを合わせるように作っていっているようなものが多かったような気がします。

 

近藤聡乃さんの「電車かもしれない」は、前世代と後世代の中間ぐらいで、「てんとう虫のおとむらい」以降は、より作家性が強くなり技術や表現性は上がったもののテンポがあまりよく、タルさみたいなものがありました。最新作ではさらに、純粋芸術性が上がってしまっているので、若干、エンタテイメント性というかそういうタルさをなくしたような方がいいなと思いました。下の動画は、「てんとう虫のおとむらい(旧作版)」。

水江未来さんの細胞アニメーションを見ていると、「細胞」とか「微生物」に目に付けたところが、もう何か運命的なものなのだろうなと思いました。細胞は抽象性と生物性の両方を兼ね備えていて、かつ21世紀の科学の主役になる生物学とマッチしているなあと。

そして、タマグラアニメ博二日目。用事があるので渋谷の追加会場のほうで「Classic B 2005〜2007」を見てきました。

 

2007年か2008年かの卒展で一度見て、その後、作品名や作者名をずっと忘れていた石橋広海さんの「de.structure」に再会して感激しました。このアニメが、僕の個人的な趣味ではタマグラアニメで一番好きかもです。ものすごく音楽とのテンポが良く、簡潔に「生」「死」、ほかにも「運動」とか「機械」とか「生物」とかの要素が凝縮されており、作画力も高く、骸骨、乳房、歯車、内臓といった土着感のないモチーフで作品が構成されていました。

 

このアニメーション作品は、自分の代理作品のようなかんじで、もっといろんな人に教えたいところがあるのですが、特にYouTubeとか動画サイトにアップロードしているわけでもなく、作者もよくわからない状態なのが残念です。石橋広海さんの今後の作家活動を期待しています。

 

ほかには、姫田真武さんは、タマグラアニメの新世代組で、群抜いているかんじがしまいsた。花くまゆうさくとかしりあがり寿系ヘタウマエンタテイメントアニメーション系、前世代よりも軽くてよいかんじです。時間の都合で2012年卒組のプログラムは見れませんでしたが、また機会があれば見たいと思います。